ひびきジャーナル 第9号

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ピュア・ミュージック・サロン/純正律音楽研究会会報
『ひびきジャーナル』  【第9号】
2003年6月12日発行

編集/発行:ピュア・ミュージックサロン/純正律音楽研究会
      〒106-0031 東京都港区西麻布2-9-2 (有)アルキ内
      Tel. / Fax. 03-3407-3726
※(C)純正律音楽研究会  禁無断転載
 転載等、二次的にご使用になる場合は、必ず事前に純正律音楽研究会
 事務局まで御一報ください。
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<<今号の内容>>
■1■玉木宏樹の“この人と響きあう” 第9回
   「赤ん坊は生き残る」為の総てを備えて生まれてくる
                ピジョン株式会社常総研究所 石川光さん
■2■ムッシュ黒木の純正律講座 第9時限目
   続・「本質」を求めて……                黒木朋興
■3■天国的純正律音楽入門 第9回    
   現代音楽は1976年に既に死んでいた[その2]
       純正律音楽研究会代表 作曲家・ヴァイオリニスト 玉木宏樹
■4■CLUB-PURE  今回のメンバーズ――正会員・八木澤享一さん
■5■外科医のうたた寝☆その8 河口湖畔の生活
          福田六花(純正律音楽研究会発起人:医学博士、作曲家) 
■6■CD REVIEW [[[[[[[[[純正茶寮]]]]]]]]]]           黒木朋興
   BEGOБ OLAVIDE『SALTERIO』(M025A)ほか
■7■PMS Event Report
   純正律ワークショップ&ミニコンサート・シリーズ
   盛況のうちに終了!         
■8■純正律かわらばん
   →7/5三味線フェスティバル@東京芸術劇場 ほか
■9■西麻布通信

レアな純正律情報満載のピュア・ミュージック・サロン/純正律音楽研究
会の公式ホームページ、仮営業中!〈http://www.pure-music.ne.jp〉
  →玉木宏樹リアルタイムスケジュール、掲示板、のほか
   会報バックナンバー等、アーカイヴもあります。
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■1■ 玉木宏樹の“この人と響きあう” 第9回――
    「赤ん坊は生き残る」為の総てを備えて生まれてくる
               ピジョン株式会社常総研究所 石川光さん

#

→今回は赤ちゃんの強力な味方、石川光さんがゲストです。石川さんは育児用
品のトップブランド、ピジョン(株)の常総研究所で赤ちゃん達と生活を共に
しながら、赤ちゃんにとってのより良い環境創出をテーマに研究を続けておら
れます。とあるサロンコンサートを通じて玉木氏と知り合い、純正律に関心を
持つようになったとのこと。西潟昭子さん、純正律からくり時計のリズム時計
工業の小俣さんも同席し、赤ちゃんの知られざる素晴らしい才能について伺い
ました。
          ―― ―― ―― ―― ――
玉木:今日は色々と赤ちゃんのお話を伺いたいんですけれど、まずピジョンと
いう会社について教えて頂けますか。
石川:創業45年ぐらいで最初は哺乳器から始まったんです。当時の哺乳瓶は
人工乳首を瓶に直接付けるのが普通でしたが、創業者が人工乳首と瓶との間に
キャップを付けて洗浄しやすくスマートにして以来ずっと哺乳器の事にはこだ
わってる。そしてより赤ん坊の事を理解しケアしていくには哺乳器だけやって
たのではいけないということで、徐々に育児の全般をやり始め、今は保育園に
もかなり力を入れている。つまり育児全般をやってる会社ですね。そして育児
の反対側にお年寄りがいるわけなのでお年寄りの仕事もやろう、それからマタ
ニティもと。赤ん坊とお年寄り、妊産婦という、どちらかというと社会的に弱
い立場の人に対してだけお仕事している非常に特殊な会社です。普通なら一番
お金持ってる20代の若者には見向きもしない。(笑)。
玉木:なるほど。ところで石川さんと知りあって、最初は純正律が何のことか
分からず、腰もひけてらした感じだったのが、私のCDやお話を聞いて下さる
うちに、次第に「純正律っていいんじゃないか」と思うようになってくださっ
たみたいですね。
石川:実は私、ごく最近まで平均律しか知らなかったんですね。「音階という
ものは人間の本質や基本に沿ったものであるはず」という前提が私の中にあっ
たものですから。
玉木:平均律が天から与えられたものだと。
石川:そう思ってあまり疑問も持たなかったんですが、よくよく考えてみると
人がつくったものは人間の本質から外れていくことが多い(笑)。それは、ど
うしても効率を重んじるからなんだけど、多分音楽にもそれをしちゃったんだ
なと、玉木先生の本を読んで思ったんです。頭の中でそう確信を持って純正律
の音を聴いてみると、これはもう間違いない、赤ん坊とフィーリングが合う、
コミュニケーションできる響きだと確信しました。
玉木:そうですか! 音といえば、赤ちゃんの可聴域が何ヶ月でどのぐらいあ
るというような数字は分りますか?
石川:赤ん坊の耳が聞こえるのは受精から計算して7ヶ月頃からです。聞こえ
てるのはほとんどお母さんの血流、動脈の音ですよね。ザーって流れる音とド
クッドクッていう音と。それがすごい大きな音で神経に伝わって。で、お母さ
んの声も当然のことながら内側から伝わって入ってきてます。
玉木:お母さんの声もですか。
石川:ええ。おなかの外側からいろんな音が入ってきてます。それらは高音が
カットされてるものですが、自分で発する音はこれは完全に純正律だと思いま
す。倍音てありますよね、おそらくどこかに文献があると思うんですけど、人
間ておそらく純正律の倍音しか出せないと思うんですね。
玉木:ホーメイという一人二重唱があって、普通は聞こえてないけど出ている
はずの倍音を極端により分けて出す発声法ですが、あの倍音は全部純正律です
よね。声がピアノの平均律の音の高さなんてありえないんです。
石川:前にお母さんの声がどういう高さの音で出ているか調べたことがあって、
今では私、それが純正律だと思うんですよ、調べた当時は私分らなかったんで
すが。お母さんが「あー、あー」って言うと倍音が出てますよね。それはとて
も平均律とは考えられない。なのになぜ平均律が一般的なのかというと、それ
は学校で教えるからじゃないかと。人間の本質的には平均律じゃないんだけど、
保育園や小学校に行ってるうちに「あんたの耳はおかしいよ」とか言われたら
誰だって揃えますよね。日本は画一的ですから、恐らく全員が揃えたんでしょ
う。揃えることに反抗した人だけが今、いい唄唄ったりいい音を出してるんじ
ゃないかなって思うんです。
玉木:まさにそうですね。さらに今、赤ちゃんに対する音環境がずいぶんひど
い事になってるんじゃないですか。
石川:私もずっと気にしていました。ほんの百年前には自然の音しかなかった
のに、ここへ来て、車や電車の音、飛行機の爆音、工事中の音、冷蔵庫や電子
レンジ、テレビの音、とにかく人工の音ばっかりなんですよね。

◆生き残るためのコンセプト◆
石川:赤ん坊って一体何なのかっていうのがすごく重要な事なんです。「生き
残る事」を生まれる以前から持って生まれてくる生き物、それが赤ちゃんだと
私は思うんですね。私自身は今、もう生き残るコンセプトを持ってないですよ。
私は赤ん坊と3年間ずっと一緒にいて【注】知ったんだけど、赤ちゃんたちは
一人残らず生き残ることにものすごい執着があります。だからそういうことに
ついてオトナの側が教わった方がいいんです。それは生まれた時から持ってて、
おそらく一番最初に自殺者が出てくる中学校何年かぐらいの歳で消えちゃうん
だと思うんですね。彼らの執着、熱意あるいは学習に対する意欲については
「勉強しなさい」なんて言う必要ないんです。黙っていても生き残るために一
生懸命いろんなことをやります。今、私がものすごく心配してるのは、その
「持って生まれたもの」が失われる時期が次第に早まってるんじゃないかとい
うことなんです。数え上げたらきりないんですが、音環境だけでなくニオイに
ついても、今はいっぱいニオイがあるからすごく赤ん坊を混乱させてる。それ
がここ数十年の間に起こってるんです。赤ん坊は生まれたらまず一番にニオイ、
二番に聴く事で危険を察知するわけです。安全なニオイとはお母さんの匂いで、
お母さんが遠くてオオカミのような匂いが近くにあると怯える。そういうふう
に危険を察知して生き残る手段を得ようとしているわけです。たくさんある赤
ん坊の能力の中で代表的な2つを挙げたんですけど他にもいっぱいあって、そ
れが今、本当にやばいんです。おそらく数百万年かけて築いてきたコンセプト
をここ数十年間でひどく痛めつけている。今は生まれた途端にすごい音やニオ
イがして出産するところは煌々と明るい。昔は出産だって暗い所でしたと思う
んですよ。
玉木:明るければオオカミに襲われちゃうわけだから、そんなところで生むわ
けがないよね。
石川:赤ん坊の立場になって真剣に考えていくと、音環境ひとつをとってみて
もすごくまずい状況になってるから、これを少しでも良くしたいと私は思うわ
けです。私は赤ん坊の味方だから。これは音だけでなく歩く事も手の発達も全
部含めての事なんですが。
西潟:改めてお話きくとすごく面白い。実は当然の事なんでしょうけど。だか
らこそ音楽は正しくあらねばならないと思いますね。
小俣:ここ数十年で捻じ曲げちゃってる部分てたくさんありますね。
西潟:それがどういうふうにこども達の心の中に作用しているのかがとても恐
いですよね。
石川:オトナがオトナだけの考えで便利になるようにしちゃってる。昔だった
ら縁側があって赤ん坊は勝手に外へ行って草をいじってたけど、今は草や泥を
いじることもない。あれもこどもの手が発達するのに欠かせない事だと私は思
うんですよ。いろんなものをつまんだり握ったり捩じったりね。
西潟:そういう力が使えなくなるっていう事ですね。
石川:そう。やがてこどもは箸を使えなくなりますよ。20年後の幼稚園では
――私はすごい年寄になるけど――フォークやスプーンでご飯茶碗から食べる
図になって「あんた箸使えるの、凄いね」っていう事になりますよ、今のまま
で行くならね。
西潟:今、すでに使えてないです。
石川:生まれた時から柔らかいものが近所にないからですよ。昔は柳の枝とか
竹とかを握る事でこどもの手がすごく発達してけど、今は触る物がみんな硬い
でしょ。テーブルも昔は杉だったけど。
西潟:今はプラスチックだし。
石川:私、純正律に気が付いた時に、音についてはこれを今あるものと置き換
えることによって、赤ん坊にとって百分の一でもマシな環境にできるかなって
考えたんです。本当は冷蔵庫の音とかについても「あんな音出すなよ」と家電
メーカーに言わなきゃいけないんでしょうけど。
玉木:今の環境は平均律どころか機械の発する音だからね。
石川:赤ん坊の立場になってみると、冷蔵庫がブーンと鳴るのだっていてもた
ってもいられないと思いますよ。私はオトナだから耐えてるけど。
玉木:耐えるうちに無神経になっちゃったってことですね。
石川:それだけもう感覚が鈍ってる。赤ん坊は文句言わないからみんな平気で
無視するけど、もしも赤ん坊が揃って何か協力して声を上げちゃったら、もう
全部拒否したいものばっかりですよ。
小俣:そういう冷蔵庫のうなりみたいなものも危険な存在だと思ってるかもし
れないですね。

◆赤ん坊にこそ人間の原点が◆
石川:そういうことを研究する人もいないぐらいに、誰も赤ん坊のことを考え
ない。そこが私は気に入らないんです。なんで赤ん坊、つまり人間の原点から
ものを考えないのかと。
玉木:哲学も何も赤ん坊から学ばなけりゃいけないですよね。
石川:私は赤ん坊にすべてがあると思ってるんですよ。赤ん坊が先生で、赤ん
坊と一緒にいると気付く事がものすごいいっぱいあるんです。でもほとんどの
人は「赤ん坊はオトナのちっちゃいもので何もできないから駄目だ」とか言う。
逆に考えればいいのに。例えば今は、こどもに教わるためにこどもを生むって
いう感覚に絶対ならないっていう事が大問題なんです。
玉木:そうなんですよ!
石川:実は赤ん坊とは一緒にいたほうが、自分にとってもプラスになる。赤ん
坊には人間の全てがあるけど、オトナは赤ん坊の持つものの90%を失っちゃ
ってるんです。結局、オトナは失った90%を後から学習して単にくっつけて
るだけなんです。
玉木:要するにオトナになるという事は駄目になる訓練をしてるようなもんで
すね。人間を大切にする事の原点が赤ちゃんにあるっていう事ですよね。
石川:そう。赤ん坊を見る事でしか人間は見られないはずだと。赤ん坊をなぜ
もっとよく見ないのかと。成人になっちゃたらもう「人間」とは違うかもしれ
ないでしょ。
西潟:人工的な生き物になっちゃうと?
石川:学習していろんな事を補っていくけど、もしそういうものがなかったら
人間て一体何なのか。そう考えたら平均律は違うだろって事がすぐわかっちゃ
うわけ。私、けっこう音楽も好きだったのに、実は音楽も効率優先になってた
という事が私にはショックでしたね。お母さんが赤ん坊を呼ぶときの声をマザ
リーズっていうんですが、語尾上がりになるんですよ。何年も前からそういう
研究もしてたから声の特性と赤ん坊の反応までは気にしてたけど、音楽と結び
つかなかった。

◆足の純正律、「純正律」な靴◆
玉木:ところで最近、赤ちゃん用のユニークなシューズを開発されたそうです
ね。
石川:赤ちゃんの足は身体の比率から見ればオトナより大きくできていて、特
に親指の割合がオトナよりもかなり大きい。赤ん坊は大体オトナの身長の3分
の1だから、身体全てが同じように3分の1になりそうなもんだけど、なぜか
赤ん坊の頭は生まれた時は既にオトナの3分2ぐらいの大きさがある。馬や他
の生き物は全ての部分が相似形で生まれてくるんです。でも人間の赤ん坊は、
足の指でも親指と小指の比率が違うし頭も違う。つまり、からだから遠い部分
を大きくして生まれてきてるんです。それは、栄養が行き渡りにくいから早め
に胎内で大きくしてるという事だと思うんですね。そんなわけで赤ん坊の足は
オトナとは違った形状をしてます。
玉木:言われてみるとそうですね。
石川:赤ん坊は親指と小指で足のバランスをとってる。オトナでも平均台では
裸足で演技しますよね、あれは小指を使いたいから。そういうバランスをとる
のが親指と小指の役割なんです。それを生まれたときからやっている。という
ことは靴だって、その動きを妨げない形でないと困りますよね。でも、この話
って世界でまだ誰も知らないんですよ。
西潟:どうして赤ちゃんの足の機能的な事を他の靴のメーカーは研究しなかっ
たんでしょうね。
石川:もしウォルト・ディズニーが赤ん坊のシューズをつくっていたら気付い
たかもしれません。ミッキーマウスの足見ると親指の所がでっかいでしょ、あ
れは赤ちゃんの足です。ウォルト・ディズニーは表現者として、足、しかも親
指をでかく描いたら赤ん坊っぽく見えるということに気付いたのね。指が大切
だと。そういう事がわかっちゃったら、今の靴はまずいと思いません? ただ
のオトナ用を小さくしたやつじゃダメなんです。
西潟:考えてみたらそれってかわいそうね。
石川:そうでしょ。日本のシューズメーカーはほとんどベビーシューズ作って
ますけど、全部その事がわかってない。コドモの足って正面から見ると我々と
は全然違う構造していて、親指と小指で踏ん張ってるんです。本当は、身を守
るためにはオトナもそうなるはずなんです。老化する、退化するっていうのは
この事を言ってるんです。せめて前の方の大きな靴をはいて甲のアーチに気を
付けながら歩いていれば、歩行において退化を遅らせる事ができるかもしれな
い。そういう赤ちゃん用シューズが今度商品として出るもんですから。
西潟:それはどういう工夫がなされてるんですか?
石川:まず左右非対称です。赤ん坊だから何でもいいわけではなくて、オトナ
にはない形です。で、甲高ですね。面白い形してますよ。3歳までを赤ん坊と
したら、そのの人々が使うシューズを「何もわかんないんだし、いずれ大きく
なるんだから何でもいいんじゃない?」って考えるのは全く間違ってるじゃな
いですかと私は一生懸命言ってるんだけど、誰もそういうふうに考えない。
玉木:これはまさに足の純正律、靴の純正律ですね。
石川:よく似た話ですよね。
玉木:平均律的に型に嵌めてどうにかしようという発想はおかしいですよね。
石川:世界のどこにもないという点で、普及させなきゃいけない大変さを考え
たらある意味純正律より大変な事態です(笑)。でも、赤ん坊が原点なんだか
ら、そこにしか答えはないんです。赤ちゃんは「生き残る」コンセプトを持っ
て生まれてきます。だから我々オトナは「私には生き甲斐がない」なんて悩む
必要はないんですよ、だって元々自分の内に持っているはずのものなんだから。
                          【構成/田村圭子】
****************
【注】石川さんが所属するピジョン常総研究所では研究所の敷地の一画に保育
園を開設し、石川さんはその園長も兼任されていた。同園では3ヶ月から5歳
児までを預かっている。
「研究者の自分と保育士の自分という二重生活の3年間を送りました。この3
年間がなかったら今の私はありません」(石川さん談)
永年、赤ちゃんの研究に取り組まれてきた石川さんだが、保育士同様に赤ちゃ
ん達と一緒に暮らしたお陰で、赤ちゃんと話ができるようになり、何を考えて
いるかも分るようになったとのこと。ちなみに、赤ちゃんはお母さんに似てい
るエプロン姿を好むため、石川さんもエプロン姿で赤ちゃんに接していた。一
方、お父さん達には気の毒だが、背広姿は苦手なのだそう。
****************

知っているようで分っていなかった赤ちゃんのお話、いかがだったでしょうか。
まだまだ知られざる赤ちゃんの驚異の力は無限にありそうです。文中に出てく
るピジョン(株)のホームページもぜひ、併せてご覧ください。お母さんにも
そうでない方にもためになるコンテンツが一杯です。
HPは→ http://pigeon.info/           

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■2■ ムッシュ黒木の純正律講座 第9時限目
続・「本質」を求めて……                黒木朋興
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 前回はbe動詞の2つの意味、「本質」と「実存」について話をしました。今
回はこの2つの意味が混同されて用いられた場合に引き起こされる問題につい
て話してみたいと思います。

◆議論のズレの正体とは……◆
 例えば、幽霊やUFOがいるかいないか、という議論があって、テレヴィなど
でも賛成派と反対派に別れて論争を繰り広げる、といった番組が時々放映され
ます。しかし、ほとんど言って良いほど、この手の議論は決着がつかず、終い
には喧嘩になって終わってしまいます。口に泡を飛ばしている当事者の方のほ
とんどが意識していないこととは思いますが、このような場面で生じる議論の
ずれといったことは、まさしく「本質」と「実存」の間の問題なのです。つま
り、「いる」という賛成派が「本質」の、対して「いない」という反対派は
「実存」の議論をしている、ということです。
 賛成派の人々は「いる」ことの根拠として、「この私が直接見た、あるいは
直に体験した」ということを挙げます。そしてそのことの証明のために、写真
を取ったりヴィデオを見せたりします。そうして「自分が体験したこと」を熱
く説明します。この説明とはどういうことなのかについて考えてみましょう。
これは「自分が体験したこと」という事実なり真理をイコールで繋いでいくと
いう行為である、とは言えないでしょうか。例えば、現実に起こったことと写
真なりヴィデオの内容が完全にイコールで結ばれるのなら、証明は成功したこ
とになります。ところが反対派は写真なりヴィデオなりはあくまでも複製だか
らと言って、つまり二次的なものに過ぎず事実そのものではないと言って否定
します。時には「インチキだ!」とか、「後から手を加えてあるはずだ!」と
かも言ったりします。ですから賛成派は今度は言葉を使って懸命に、修正など
は一切していないことを、自分は嘘などついてはいないと言い出します。すな
わち、彼等の説明においてはイコールの整合性が焦点となっているわけです。
その意味で、彼等は「本質」の議論をしていることになります。対して、反対
派は何を言われても、何を見せられても、信じません。何故なら彼等は端から
イコールの部分など見ていないからです。彼等が問題にしているのはあくまで
も「実存」で、そんな「いかがわしいもの」は最初から「実存」しないと言っ
ているのです。最終的に賛成派は「オレは嘘などついていない。このオレが信
じられないのか!」などと言い始めます。対して反対派は「自分がうまく証明
できなかったことを棚にあげて、何を言い出すか!」と切り返します。こうな
ってくると興奮が興奮を刺激し、単なる罵り合いへと落ちていきます。
 同じテーマを議論しているにもかかわらず、片方は「本質」の、そしてもう
片方は「実存」の話をしているのでまったく議論は噛み合わないのですが、深
刻なのは、多くの場合、当事者達がこのずれを意識していないということです。
これが幽霊とか宇宙人に関する議論であればまだ可愛いものでしょう。しかし
「民主主義」とか「神」とかであったらどうでしょうか?笑い事ではすみませ
ん。何故なら未だもって人類は、この種のテーマで議論をこじらせ、時には殺
し合いまでしてしまうからです。

◆「本質」にして「実存」?◆
 西洋の言語の特長は、この「本質」と「実存」を同じ動詞でもって表せるこ
とだ、と言っても過言ではないでしょう。このことは神学を始め、哲学・文学・
芸術など、キリスト教文化のすべての基礎となっています。対して、我々の日
本語には、イコールの意味を持つ動詞はありません。実は旧約聖書の言葉、ヘ
ブライ語にもやはりないそうです。ここで新約聖書はイエスの死後、ギリシア
の信徒によってギリシア語で書かれた、という事実を確認しておきましょう。
つまりイコールの意味の動詞を持たないヘブライの民の宗教とそれのあるギリ
シア哲学の出会いこそが、ヨーロッパキリスト教文化の礎を形成した、という
ことです。

************************************
■3■ 天国的純正律音楽入門 第9回
    現代音楽は1976年に既に死んでいた[その2]
       純正律音楽研究会代表 作曲家・ヴァイオリニスト 玉木宏樹
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 ポストモダンの音楽が純正律系をめざすのであれば、後世、1976年が一
大エポックメイキング、大転換の年だったことになるだろう。ひとつには、も
ちろん、アルヴォ・ペルトの「アリーナのために」が初演された年でもあるが、
純正律的にはそれだけではない。1990年代になって爆発的なヒットとなり、
世界中で300万枚は売れたといわれる、ポーランドのグレツキの交響曲No.3
「悲歌のシンフォニー」が、実は1976年に作曲されていた。また、アメリ
カでファナティックな純正律運動を行い、一種教祖的な存在であった、ハリー・
パーチが死んだのもこの年である。しかし、パーチの存在は死後の後継者の一
群の啓蒙によって有名になっていく。もちろんその頃の欧米の現代音楽の主流
は、相も変わらず無調、12音の平均律跋扈だったが、パーチの後継者、ルー・
ハリスンは1970年頃からさかんにアメリカンガムラン運動を行っている。
今日の作風からは信じられないが、彼はシェーンベルクに師事したドデカフォ
ニストだった。グレツキやペルトたちも若い頃はバリバリ前衛の無調派だった
のもおかしい。そのハリスン先生、今年亡くなられた。84歳かな? 合掌。
 さて、そのハリスンが愛した、アルメニア系の孤高の人ホヴァネスの、オー
ケストラと鯨による演奏の「神は偉大な鯨を創られた」は、1970年に作曲
されている。また、ミニマルミュージックによって無調から逃れようとしたス
ティーブ・ライヒも1970年代から活躍している。今から見ると、1976
年前後から無調世界に決別した作曲家が一挙に増えている。一方、日本はどう
だったか。

◎元凶は無調派の台頭?◎
 戦後の日本の作曲界は混沌としていて、小山清茂のような民族派、芥川氏の
社会主義レアリズム、黛・諸井両氏の電子音楽に代表される超前衛無調派がひ
しめいていたが、時代は無調に凱歌を上げ、武満氏の「ノヴェンバーステップ
ス」が1967年に初演されてアメリカで大評判をとったことが社会的事件風
にも扱われた。しかし、この成功が、その後長い間、日本の現代音楽を一色に
してしまい、ポストモダンには目もくれない風潮が、大きい目で見れば、日本
の現代音楽を不幸にしたといってもよいだろう。

◎日本も純正律再生の時代へ◎
 さて、私自身の1976年はどうだったのかというと、コロムビアより、日
本初のロックヴァイオリンアルバム『タイムパラドックス』を出して有頂天だ
ったというかなりのズレよう。私自身、学生時代に無調の作曲もしていたが、
平均律の音程感覚が身に合わず(純正律を教えない、知らない芸大とも衝突を
繰り返しエリートコースとも決別)、本線のクラシック界からドロップアウト
して山本直純の工房に入り、商業音楽まっしぐら。そんな中でのロックアルバ
ムだったから、私自身もそちらの前衛になるつもりでいた頃に、人づてにエプ
ソンセイコーに呼ばれ、純正律と平均律を弾き分ける「ハーモニートレーナー」
と対面したことが、その後の私を変えるキッカケになっている。
「ハーモニートレーナー」は、西独から特注を受けたすぐれものの機材で、各
鍵盤ひとつずつに-15セント、+16セントの微調整のつまみがあり、自分の耳
で純正律和音を訓練できる機材である。私は学生時代の純正律トラウマに目覚
め、いろんなレコード会社に純正律の企画を出したが、もちろん一顧だにされ
なかった。しかし世の中はホグウッドたちのオーセンティック運動の発展形と
して古楽の純正律演奏が盛んになりつつあったが、1989年のカラヤンの死、
1990年のバーンスタインの死が欧米のオーセンティック運動に火をつけた。
私は演奏面での純正律にはもちろん興味があったが、作曲とどう結びつけるか
に頭がいかず迷っている時、オランダに立ち寄った日本人の友人からペルトの
存在を知ったのが1992年。それから首を突っ込んでみると、欧米にいるわ
いるわの純正律系作曲家。それらに勇気づけられ、日本で初めて出した純正律
のCDが1994年だった。
 無調的現代音楽の巨匠、J・ケージが死んだのは1992年。日本での大御
所、武満さんは1996年に亡くなった。今、日本の現代音楽は支柱を失い、
揺れ動いているように見える。1976年にペルトらによって死亡宣告を突き
つけられた平均律無調音楽は、今やっと日本でも再考の時期に入っている。
 私は去年の末から邦楽の世界にのめりこみ、今、激しく旋法での作曲にいそ
しんでいる。ひびきとメロディの再構築である。

【『ひびきジャーナル第9号』ネット版bに続く】

【『ひびきジャーナル第9号』ネット版aから続く】

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■4■ CLUB-PURE 今回のメンバーズ――正会員・八木澤享一さん
    会員の皆様に登場していただくコーナーです。

    自薦他薦、どうぞ手を挙げてください。こんな面白い人いますと。

⇒今回は、前号でも投稿していただいた正会員・八木澤享一さんからの御寄稿
です。去る3月30日に大森の山王オーディアムで開催された純正律ミネラル
サウンド・コンサート「玉木宏樹の魔弓の世界――バッハからピアソラまで」
のレビューをお寄せいただきました。
*************
 3月30日山王オーディアムへ行き、午後4時からのコンサート「玉木宏樹
の魔弓の世界――バッハからピアソラまで」を鑑賞しました。
 コンサートが始まる頃には席(100席位か)が殆ど埋まっている盛況ぶり
でした。出演は玉木さんの他、ピアニストの小松真知子さんと弦楽器の松田麻
由美さん。恒例の「吉本ヴァイオリン」のウケ具合から察するところ、客には
「新顔」が多いようでした。玉木さんのヴァイオリンと平均律のピアノとの共
演を聴くのは今回が初めてですが、中々良かったと思います。
 コンサートは定番の「無伴奏ヴァイオリンソナタ」に始まり、恒例の「おし
ゃべりヴァイオリン」や「冗談ヴァイオリン」、客の名前に即興で付けるメロ
ディーの演奏が続いた後は、大略以下の通りでした。

●「きらきら星」と「まりと殿様」の変奏曲
 これはとても面白かった。前者は、子供のビギナー・大学生・演歌・フィド
ルをそれぞれ模した変奏。後者は、沖縄・中国・ロシア・ヨーロッパの音楽、
およびアメリカ国歌を模した演奏。
●ピアノの為の練習用組曲「山ノ手線」からの抜粋(東京と新宿)
「東京」の方は「君が代」と「鉄道唱歌」のコラージュ。
●ヴァイオリンとピアノの為の三つの恋唄(田舎っぺ、エセ都会人、仕事中毒)
 ピアノの部分に、現代音楽的な不協和音が多用されているように聞こえ、そ
れが少し気になりました。もう一つは、楽器の性格とも関係しますが、ヴァイ
オリンの調べがピアノの大音量に呑み込まれる恐れありとの印象を受けました。

――休憩――

●玉木さんと松田さんのデュオ。
 幾つかの小曲(鯉のぼり、夕やけこやけ、聖夜、むすんでひらいて、家路)
 に続き、「タンゴのように」と「二人のフィドラー」
 小曲と「タンゴのように」 は、コンサートのお題目にもなっている「純正
律」に則った演奏。
●小松さんのピアノと玉木さんのヴァイオリンによるタンゴ数曲
 実は、玉木さんのHPの≪近況報告2003/3/18版≫〈これからの予定〉
の3月30日の欄に、「16:00から、大森の山王オーディアムにて純正律ミニ
コンサート」、「小松真知子さんのピアノと、なんと玉木が平均律で奏きまく
り」等と書き込まれており、「純正律」と「平均律」を一体どう整合させるの
か、少し気になっていました。しかしこの日の説明では、タンゴの演奏の場合、
純正律でハモらせるよりは、むしろメロディーとメロディーをぶつけた方が良
い、という事でした。それならピアノとの合奏で支障が生じる事は無いかも知
れません。「平均律×平均律」、または「平均律×ピタゴラス」で演奏すれば
良いのでしょう。
 一方「純正律」の方は、松田さんとのデュオで済ませているので「看板」に
偽りは無かったという事になりましょうか。

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■5■ 外科医のうたた寝☆その8   川口湖畔の生活
        福田六花(純正律音楽研究会発起人:医学博士、作曲家)

 昨年の5月に河口湖に引っ越してきて1年が経過した。最初の1年は慌ただ
しく毎日が過ぎていった。標高900mの自宅からは正面に富士山を眺め、夏場
はクーラーはまったく不要の快適さであった。秋は紅葉の中で炭火焼きに熱中
し、日曜日毎に七輪持参でクルマで10分の湖畔に行き、肉、野菜、秋刀魚、
キノコなどを焼いて食べ、風に吹かれてひたすら昼寝をした。11月になると
とたんに冷え込み、この冬は大雪がなんども降った。湖畔の道は永久凍土と化
し、11月~2月までは日課のジョギングもままならない状態であり、真っ白
な富士山を眺めながら近所の温泉に通った。元来、冬も、雪も、寒さも大好き
であったが、2月に働いていた病院が諸般の事情でクローズすることになった
りで気分の晴れない冬を過ごした。

★自然に抱かれひた走ろう★
 3月になって降り積もった雪が溶ける頃、新しい仕事も軌道に乗り始めまた
楽しく快適な生活が戻ってきた。4月20日に長野マラソンを控えており、3
月は毎日10~15�を走った。仕事が終わったPM8:00過ぎに河口湖の湖畔
にクルマを停めて河口湖一周(約15�)を1時間20分かけて走る。通称〈奥
河口湖〉、足和田村あたりは人家、店、街灯すらほとんどなく、静寂のなか自
分の足音と息づかいしか聞こえない世界はちょっと不気味ですらある。けれど
も月明かりで銀色に光る湖面とそれに覆いかぶさるように迫る森の間の道を黙
々と走っていると、自然が身体の中にどんどんと入り込んで行くような不思議
な感覚におそわれる。河口湖に吸い寄せられるように雨の日も、小雪の日も走
り続けた。

★超快調! 朝型生活★
 4月に入ってまた大きな変化が訪れた。河口湖の湖畔に住む有名なアウトド
ア夫婦と友達になり、時々一緒にジョギングするようになった。彼らは日の出
と共に目を覚まし早朝走るのである。最初、走る約束をしたところAM5:45に
湖畔に集合と聞いて〈狂気の沙汰〉かと思い、とりあえず1回だけ参加してみ
ようと考えた。ところがこれが気持ちよかった。約1時間走ってAM7:00には
自宅に戻ってシャワーを浴びて仕事に行く。その後の一日は棒に振るかと思い
きや、実に元気で気分良く夜まで仕事に集中することが出来た(ただし夜は最
後までニュースが見られず、PM11:00頃には眠ってしまう)。それまでの月
と星とのジョギングも良かったが、朝陽とさわやかな空気とのジョギングも素
晴らしく、いつの間にか忘れていた純粋に走ることへの喜びを思い出し、マラ
ソンを始めた7年前の原点に戻れた気分である。
 生活を朝型に変えて自分でも満足のいく練習をして臨んだ、4/20長野マラ
ソンでは3時間38分と自己記録を更新して最後まで気持ちよく走りきること
が出来た。そして自分の中にまた新しい可能性が生まれた様な気がした。これ
も森と湖に囲まれた生活のおかげと感謝している。
 燦々と太陽は輝き、湖を囲む緑はどんどんと深くなって行く。朝もやのなか
を走り、湖を囲む山に登り、湖面にカヌーを浮かべてのんびりと漂う。湖畔で
お湯を沸かしコーヒーを飲みながら風に吹かれていると、何とも云えない幸せ
な気分になってくる。
 玉木さん、たまには西麻布の雑踏を抜け出して、大好きな富士急電車に乗っ
て湖畔にバイオリンを弾きにきて下さい。
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CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW
■6■  純正茶寮                  黒木朋興
    BEGOБ OLAVIDE『SALTERIO』(M025A)ほか

今回は、フランス在住(@エクス)の黒木氏が担当します。以前にも氏が本コ
ーナーで紹介したレーベル、M・Aレコーディングスからのセレクトです。響き
を訪ねる、中世スペイン空想の旅はいかが?
***************
 今回はスペインの伝統音楽を紹介します。というと、フラメンコを思い浮か
べる方が多いとは思いますが、今回扱うのはさらに古いのものです。カルロス・
パニアグアという人が、失われてしまっていた中世の古楽器を、図版などいろ
いろな資料を当たることによって、独自に復元し、文字通り手探りで弾き方を
修得しつつ演奏活動を行っているのです。この2枚のCDは彼を中心としてベ
ゴニア兄弟など彼の仲間の演奏をスペインの教会でタッド・ガーフィンクルが
録音し、そのタッドさんが日本で設立したM・Aレコーディングスというレーベ
ルから発売されています。僕が紹介するCDは、実は、タッドさんが買い付け
て日本に持ち込んだのを購入したものが多い、ということは気付いておられる
読者の方も少なくないのではと思います。
       ☆ ☆ ☆
 中世のスペインといえば、そして特に彼等の住むアンダルシアとは、まさに
キリスト教文化とイスラーム教文化が交錯した地域であり、それがゆえの豊か
な文化遺産に溢れるところです。自然科学史の領域では、古代ギリシア・ロー
マの学芸は中世においてイスラーム教徒に受け継がれ、12世紀くらいから主
にイベリア半島などからヨーロッパに流入してきた、と説明されることを確認
しておきましょう。もちろん音楽もそうやって継承された重要な学芸の一つで
した。ところが中世のイスラーム教徒がどのような役割を果たしたについては、
未だもって十分に研究が進んでいるとは言えないのです。キリスト教のイスラ
ーム教への蔑視という問題もさることながら、音楽に関してはなにぶんにもレ
コードなどない時代ですから、当時実際にどのような音楽が演奏されていたか
については確かめようがないのです。そういった中で、たとえ想像の域を出な
いのだとしても、このCDのような試みは貴重だと思います。
       ☆ ☆ ☆
『SALTERIO』のほうは弦楽器の響きが本当に美しいです。ヨーロッパに住ん
でいて感じるのはとにかく教会が日常生活の本当に身近なところにあるという
ことです。それぞれの教会は基本的に抜群の音響効果を誇っており、というこ
とはそれらがあっという間に上質のコンサート会場に早変わりしてしまのです
から、うらやましい次第です。なおSALTERIOというのは琴のような弦楽器の
総称です。
       ☆ ☆ ☆
『THE SPLENDOUR OF AL-ANDALUS』は、歌と笛の旋律を表に出した曲が
多いです。個人的な感想としては、笛の音が何となく日本のお囃子を思わせる
し、中学生の頃愛聴していた中国の伝統音楽の調べに似ているような気がしま
す。そんなことをタッドさんに話したら、笑われてしまいました。もちろん、
これらのCDを買った当時、水滸伝を読み直していたからかも知れません。た
だし、笛の調べは明らかに平均律ではなく、ピュタゴラースだとすれば、僕が
日本や中国の音楽と近いものを感じてしまうのも強ち間違いではないように思
っています。現在日本では彼等の3枚目のCDが発売されているのは知ってい
るのですが、僕は残念なことに買いそびれてまだ聞いていません。読者の方で、
興味を持たれて買われる方がいたならば是非感想等をお聞かせ下さい。

INFORMATION

●『SALTERIO』(M025A)
 BEGOБ OLAVIDE

●『THE SPLENDOUR OF AL-ANDALUS』(M026A)
 CALAMUS

※M・AレコーディングスのHPは
http://www.marecordings.com/
 試聴、通販もできそうです。

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■7■ PMS Event Report
    純正律ワークショップ&ミニコンサート・シリーズ
    盛況のうちに終了!

 ただ聴くだけでなく、自ら声や音を出して純正律を体感したい、学びたい……
かねてより多かったこうした御要望を受け、この春、玉木宏樹プロデュースに
よる「純正律ワークショップ&ミニコンサート・シリーズ」が開催されました。
ライフクリエイトサロンKAZとの共同企画のため、KAZの拠点である横浜ラン
ドマークタワーが会場となりました。楽器を持参して演奏に参加するもよし、
手ぶらで気軽に聴講するもよしという自由度の高いスタイルで、就学前のお子
さんから中高年層まで、様々な目的を持つ皆さんにお集まりいただきました。

 3月1日の第1回目はヴァイオリニストの水野佐知香さんがゲスト。純正律
/平均律の聴き分けレクチャーの後、玉木オリジナルの「カノン」を教材に、
全員を小グループに分け、輪になって互いの声を聴き合いハモるレッスンを。
その後、ヴァイオリン二重奏を中心とするハモりを体感し、楽器を持参された
中から有志の何人かに水野さんや玉木氏とのデュオ演奏を体験していただきま
した。後半は玉木氏と水野さんのデュオ・ヴァイオリンが奏でる純正律による
ミニコンサート。見事に息の合った演奏で第1回目が終了しました。

 4月26日開催の第2回目は、リコーダー奏者の金子健治さんを講師に東京リ
コーダーオーケストラのメンバー3名のサポートも得て、誰もが経験のある身
近な楽器リコーダーで純正律の響きをつくりあげるワークショップが展開され
ました。申し込まれた殆どの方がリコーダー持参での御参加です。
 金子さんのオリジナル曲を教材に、会場全員で音を出していくうちに、次第
に会場全体が1つの楽器になったかのような見事なハーモニーを響かせ始めま
す。前回同様、有志による講師陣とのアンサンブル体験コーナーを経て、最後
は金子さんたち東京リコーダーアンサンブル・メンバーによるミニコンサート
を御堪能いただきました。ルネサンスから現代の映画音楽まで、曲によって、
掌に収まりそうな小さなものから2mもある超低音のものまで、時代もサイズ
も様々なリコーダーが登場し、リコーダーの世界の奥深さをたっぷりと味わう
ことができました。

 純正律音楽研究会では、今後も、こうしたシリーズを積極的に展開して参り
ます。「こんなテーマで開催してほしい」等、皆様の御意見、御要望をどしど
しお寄せください。

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■8■ →→→純正律かわらばん

●西潟昭子氏総合プロデュース
 三味線を聴いて、聞いて、見てさわれる3日間
 「三味線フェスティバルin東京」開催!
�2003年7月4日(金)~6日(日)、池袋の東京芸術劇場にて「三味線フェスティ
バルin東京」が現代三味線音楽協会(理事長:西潟昭子氏)の主催で開催され
ます。当代の一流演奏家によるコンサートをはじめ、ワークショップ、シンポ
ジウム等、盛り沢山な内容。無料の三味線体験コーナーもあり、三味線ワール
ドを楽しく探訪できる3日間です。5日(土)には玉木宏樹氏の司会、永六輔氏、
福田六花氏他によるシンポジウム「なぜ、いま、三味線なのか」も開催(16時~
中会議室にて/入場料2000円)。

※フェスティバル各イベントの詳細他、各種お問い合せは、現代三味線音楽協会
(Tel. 03-3565-4197)、またはTAオフィス(Tel. 03-3953-0431)まで。
若者の間で津軽三味線が大ブレイク中のいま、これはオススメです。

●今度はリズムがテーマ!
 玉木宏樹氏も執筆、『21世紀の音楽入門2』発売中!
�リズムをテーマに、玉木氏の刺激的な論考を掲載したムックが発売されまし
た。『21世紀の音楽入門2/リズム、音楽に生命を与えるもの』(教育芸術社、
税別1000円)の中で、「リズムの快感」を執筆しています。ちなみに同書には
西潟昭子さんも執筆されています。一般書店で入手できますので、是非御一読
ください。

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■9■  @@@@@西麻布通信@@@@@

◆お陰様で満4年を迎える当研究会、いよいよNPO法人化へ向け
て本格的に動き始めました。5月24日には設立準備総会を開催、
今秋の法人設立をめざして一同張り切っています。NPO法人とし
て認可されれば、純正律の力をより多くの人に知って頂き、医療、
福祉の分野や音環境の整備等を通した社会貢献活動を広く展開して
いくことができます。安らぎの音環境に包まれた社会の創設を皆様
と共にめざせればと思います。皆様の御参加を心よりお待ちしてお
ります。                       〈田〉

 〒〒〒〒〒〒おたよりお待ちしています!〒〒〒〒〒〒

 〒106-0031 東京都港区西麻布2-9-2(有)アルキ内
Fax. 03-3407-3726 / E-mail: archi@ma.rosenet.ne.jp
 純正律音楽研究会 まで

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とりあえずいちばん速い純正律情報はこちら!
 →玉木宏樹のホームページ
    URL :  http://www.midipal.co.jp/~archi/index.html
*ピュア・ミュージック・サロン/純正律音楽研究会の
 オフィシャル・ホームページにもお越しください!!
   http://www.pure-music.ne.jp
 掲示板もやってます。リアルタイム玉木純正律情報だけでなく、
 会報バックナンバー等、アーカイヴも一部公開中。ぜひ、お立ち
 寄り下さい。
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 不許複製(c)純正律音楽研究会