玉木宏樹 巻上公一 萩野昭三 黒木朋興 井土井至 田村圭子 福田六花(2000年4月5日発行)
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純正律音楽研究会会報『ひびきジャーナル』 {創刊第2号}
2000年4月5日発行
編集/発行:純正律音楽研究会
〒106-0031 東京都港区西麻布2-9-2 (有)アルキ内
Tel. / Fax. 03-3407-3726
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いよいよ春本番。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
たいへん長らくお待たせいたしましたが、純正律音楽研究会会報『ひびきジャーナル』第2号をお届けいたします。まだまだ至らない点も多いことと存じますが、御一読いただき、ぜひともみなさまの忌憚のない御意見、御感想をお寄せくださいますようお願い申し上げます。
おかげさまで先日、当会主催による第4回ミニコンサート&ワークショップも大盛況のうちに無事終了できました。また、近ごろでは当研究会主催だけでなく、外部からの依頼による純正律関連イベントも着実に増えてきているほか、この4月にはテレビ、ラジオ等のオンエアもいくつかあり(詳細は会報8ページ目の情報欄を御参照ください)、純正律に関する認知度がじわじわと高まってきていことを感じます。
当研究会で企画・運営するイベントはどうしても東京周辺地域のものになってしまいますが、これからは、各地のみなさまからの御要望にも積極的にお応えしていければとも考えております。そのためにも、みなさまのお声をお待ちしております。御連絡は事務局まで、宜しくお願いいたします。
桜の季節到来とはいえ、まだまだ寒い日もあります。みなさまも体調など崩されぬよう、どうぞ御自愛ください。
純正律音楽研究会代表 玉木宏樹
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――玉木宏樹の――
“この人と響きあう”
第2回 超歌唱家 巻上公一さん
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純正律音楽研究会代表の玉木宏樹氏が各界の方々と 音や響きについて繰り広げるトークの第2弾は、ヒカシュー等、過激なヴォイス・パフォーマンスで知られる超歌唱家・巻上公一氏の登場です。予告通り巻上氏を伴って、前回のお相手、バリトン・ドクター萩野昭三先生を訪ねました。目的はズバリ、一人二重唱であるホーメイを歌っている時の声帯の使い方を写真に撮るため。ヘンな声を出すのが三度のメシより好きという巻上氏のノドで、一体何が起きているのか!?
〈ホーミィとホーメイは違う〉
玉木:巻上さんとホーメイとの出逢いはどういうふうにして?
巻上:7年くらい前かな、TBSで、あの坂田明さん(「ちょうちょ~」で有名なサックス奏者)がホーメイの特集をやっていたのを見てびっくり。すぐやりたくなって、坂田さんのところへ行ったんです。
玉木:へえー。あの坂田さんがねえ。彼自身はホーメイできるの?
巻上:今からみると、少しできるって感じだったかな。
玉木:だいたい、ホーメイなんて、どこの誰がやってるんだろう、なんていうところですよね。
巻上:ええ。それで、さっそく坂田さんとこへ行ってやり始め、いろいろ研究すると、奥の深いこと。
玉木:はあ。
巻上:最初はモンゴルの人たちの特殊な歌い方だと思っていたんだけど、そんなもんじゃなかった。
玉木:モンゴル以外にもたくさんやってるわけ?
巻上:モンゴルでやってるのはホーミィと発音します。
玉木:巻上さんのやっているのはホーミィではなくホーメイ?
巻上:そうです。モンゴル周辺では、いろんな民族がよく似た歌い方をしています。しかし、ソ連時代には、ティピカルな民族音楽は禁止されていたので、やる人は少なくなっていたようです。
玉木:ウクライナでも、ダルシマ系の民族楽器のプレイヤーが大虐殺されて、ショスタコヴィッチが自伝で、それを黙視したことを猛反省しているらしいけど。
巻上:それでボクは、地図でいうとモンゴルのななめ左上にある、トゥヴァというロシア連邦内の共和国の人と知り合い、似たようでいてだいぶ違うやり方を知ったんです。
玉木:それがトゥヴァ地方のいわゆるホーメイ。で、あこがれのトゥヴァへ行ったんだ。
巻上:あの時は、イルクーツクまでの直行便があったので、今よりは行きやすかったんです。
玉木:えっ、今はもっと大変なの。
巻上:アエロフロートから独立した航空会社がつぶれちゃって、直行便がなくなっちゃってね。
[――などと話がはずむうちに、診察室に呼ばれ、バリトン・ドクター萩野先生と巻上氏が御対面。看護婦や事務などの女性陣が5~6人も待ち受けていた!]
玉木:萩野先生、ホーメイって聴いたことあります?
萩野:いや、噂はきいているけど。
玉木:巻上さん、じゃ、さっそくやってみてください。
〈ホーメイの謎に大接近!?〉
巻上:[診察用の椅子に座りながら]えーっ、ここで……ムムム……[と言いつつホーメイが始まり診察室の一同、歓声の嵐]
萩野:ふーん……声帯の写真を撮るのには、「イ」の発音がいいんだけど[と言いながら、巻上氏の口腔に光をあてて、撮影用の特殊カメラを向けると、隣の大きなカラーモニターに、巻上氏の声帯の、どアップが映し出される]
巻上:イ~~、ゴホンゴホン、何だかおかしいな。
萩野:こわくない、こわくない。リラックスして。
巻上:イ~ウ~エ~、ゴホッ、ゴホッ……
萩野:ちょっと麻酔をするからね。
巻上:ええーっ![←まったく困り切った表情]
萩野:大丈夫、大丈夫。たいした麻酔じゃないんだから。
巻上:イ~エ~オ~[←なかなかうまくいかない様子]
萩野:そンだなぁ。[←完全に津軽弁]、仕方がないから鼻からいぐか。
巻上:えー!?[←もう半泣き状態]
萩野:すぐ終わるから、ほら、こんな風になってる。[全員でモニターを覗き込む。玉木氏にはもちろんわけが分からないが、スタッフの女性陣は一斉に息を呑んでいる]
萩野:ほンらね。[と言いつつ、声帯の様子をビデオに収録。写真を3枚ずついただいた]
玉木:先生、この間お会いした時のお話で(創刊1号参照)、ホーメイは仮声帯を使ってるというようなことを言われた気がするんですが。
萩野:いや、違うね。仮声帯を使うのは浪曲とか詩吟の人たちだね。
玉木:じゃ、普通では考えられないんですか。
萩野:つまり、喉頭の全部が振動してるんで、こんな人初めてだな。
玉木:じゃ、学会に発表できるほどのことですか。
萩野:そうだねぇ、十分発表できるね。
〈そして診察後……〉
――ここからは玉木の感想です。いやほんとに御両人、ありがとうございました。診察が終わって、萩野先生の奢りで一杯やりながらの雑談で、巻上さんがとても重要で面白い話をしてくれました。ホーメイをやりだしてから、特に倍音に敏感になってしまい、街のどんな音でも倍音が聞こえるようになり、うるさくてたまらない時があるということです。そして、電車に乗ると、その震動音に合わせてホーメイをやりたくてたまらなくなるそうな。東海道線(彼の自宅は熱海)の車中で巻上氏を見かけたら、ホーメイの実演がタダで聴けるかも!
〈文・写真:玉木宏樹〉
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{{{{{{ ムッシュ黒木の純正律講座 第2時限目 }}}}}
「純正律」という呼称についての考察 ―その2―
黒木朋興
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◆事典レベルで既にバラバラ◆
前回は、フランスで最も権威があるとされる音楽学校で作曲を講じる人物に、フランス語で純正律(=reine Stimmung /just intonation)を何というのか聞いてみたところ言葉につまってしまった、という話をした。
しかしフランス人の作曲家が「純正律」という表現を知らなかったとしても、それは決して彼らの勉強不足のせいではない。フランス語の音楽事典やテンペラメントを扱った学術書を見てみれば、既にそこからして言葉が一定していないのである。
まずマルク・オネゲル編集の『音楽事典:音楽の科学』(1976)を引いてみると、「ピュタゴラスシステムSysteme pythagoricien」「調整されたシステムSysteme tempere」の項に続き、「ツァルリーノシステムSystemezarlinien」という項が見つかる。ここでは「G.ツァルリーノがこのシステムを開発したのではないが、これが広く用いられるようになったことに関しては多大なる貢献をしている。その主要な特徴は、ピュタゴラスの長3度(81/64)を倍音列のなかの長3度(5/4)に置き換えたことにあり、3つの音(ド-ミ-ソ=4/5/6)による協和音の可能性に道を開いた……」と説明されている。また「フランスでは物理学者の音階、ドイツでは倍音システムの音階と呼ばれている」という記述があることも興味深い。
『音楽ラルース』(1987/1993) では、テンペラメントの項の中で、「平均律le temperament egal」、「ピュタゴラス整律le temperament pythagori-cien」に続き、「ツァルリーノ整律、あるいは《不等分律》les temperam-ents zarliniens, dits《inegaux》」として扱われている。やはりここでも5/4の3度の重要性が強調されているが、les temperamentsという風に複数形であることからも察せられるように、中全音律やキルンベルガー整律などの古典整律の説明もこの項の中でなされている。
次に学術書を見てみよう。ピエール=イヴ・アスランの『音楽とテンペラメント』(1985)では、ピュタゴラス律を「ピュタゴラスシステム」として説明し、純正律は「英語の《just intonation》からの訳語である」という断り書き付きで《intonations pures》としている。ジャン・ラタールの『音楽における音階とテンペラメント』(1988)では、やはりそれぞれ「ピュタゴラスの音階gamme de Pythagore」、「ツァルリーノの音階gamme de Zarlin」と呼ばれているのだが、「自然音程 Intervalles naturels」という言葉に「正確なjus-tesあるいは純粋なpurs [音階] とも呼ばれている」という但し書きがついている。英語、ドイツ語からの影響であろう。そしてドミニク・ドゥヴィの『音楽のテンペラメント』(1990)では、ピュタゴラス律を「ピュタゴラスシステム」としているのは前述の書物と同様だが、純正律には「自然音階gamme nature-lle」という言葉が当てられており、箇所によっては括弧をつけて英語のjust intonationという言葉が添えられている。
◆立役者は物理学者たちだった◆
確かにツァルリーノは長3度(5/4)の可能性を強調してはいるが、彼の時代ではハーモニーといえばまだ音階論の域を出ず、それが1度-3度-5度などによる和音のことを意味するようなるのは、17世紀にメルセンヌやデカルトらが自然倍音を発見し、18世紀初頭にかけてソヴールなどの物理学者が音響分析を行い、そしてそれらの研究の成果を背景としてラモーが数々の和声論を執筆する18世紀以降であることを考えれば、純正律が〈科学的〉に理論付けされ実用化されたのは18世紀初頭であると言えよう。その意味で、ドゥヴィが純正律に「自然音階」という用語を当てているのは、「自然倍音harmoniques naturels」との関連であり、適切な選択であると言えよう。
つまり純正律はツァルリーノではなく、18世紀の物理学者達のもとで和声論とともに花開いた音階なのである。
※おことわり※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
本稿の、黒木氏による原文では、フランス語部分に多数のアクサン記号が使用されていますが、メールマガジンというメディアの制限上、この「会報ネット版」ではアクサン記号をつけた状態の文面を表示することができません。ただし、純正律音楽研究会正会員向けの会報(印刷物/A4判8ページ)では、正しく表記されているほか、図版等も掲載されております。
今回、この正会員向け会報を御希望の方に実費にてお送りいたします。お名前、御住所、「アナログ版会報希望」の旨をお書き添えいただき、80円切手を同封の上、純正律音楽研究会までお送りください。折り返し、正会員向け会報をお送りいたします。
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天国的純正律音楽入門 第2回
な、なんと、ギターの調弦が純正律に!
純正律音楽研究会代表 作曲家・ヴァイオリニスト 玉木宏樹
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◎「ギターで純正律」開発秘話?◎
当研究会の若きホープ黒木氏が、純正律ブルースの調弦を発見したということは前回に少し書いた。この会報でも彼に連載記事を書いてもらっているが、文章が難しいという意見がちょくちょく来る。しかし、彼は、本当はミュージシャンではなくバリバリのフランス文学の徒であり、文学博士をめざして多方面に研究を深めている途中で〈純正律〉の重大な問題にぶつかったという話だ。もともとロックバンドなんかやっていた関係で、ギターの調律の矛盾点と純正律のすばらしさに目覚め、ひたすら研究の道に入ったようで、学究の徒である以上、厳密な考証のもとに文章を書かねばならないのでひとつ御理解のほどを。
ところで、たいていの人は彼と話していてもおいてけぼりになるので「むずかしい人」と思われがちなのだが、何の何の、実は正反対の奇人変人に近いところがあり、ギターが純正律調弦できないことにいらついて悶々とした毎日を送っていたようだ。
ある日、倍音上の自然7度(これは普通の西洋音楽の音階ではほとんど使わない。バッハ時代の無弁トランペットではやむを得ずこの音程が出る程度)に頭をめぐらせている時にふと、この自然7度を採り込んだ調弦を思いついた。
Dチューニングで、下からD-A-D-F#-A-Cと調弦するのだが、下のD以外の音はすべてDに含まれている自然倍音、つまりハーモニックスで合わせていくのである。すると、長3度の音が純正律になるのは当然だが、なんと7度までが純正になるのだ。彼が意気込んでウチの事務所へ来て、「このチューニングならブルースができるでしょう」と言いつつ始めたセッションは、すぐに興奮の渦を巻き起こした。
ブルースだから、I度、IV度、V度しかなく、それも全て1本指の移動で済む。このブルースについては、前回の「コア石響」の時のセッションを御覧になった方はお分かりだろうが、何を隠そう、昔はエレキヴァイオリンでロックをやっていた私。過去の悪行を思い出し、破天荒なアドリブを始めたことに驚いた人もいただろう。
この純正律ブルースは12月に錦糸町そごうのクリスマスキャンペーンのミニコンサートでもやって、大変面白かった。これからも、何度もやっていこうと思っている。
◎次なる秘技はトライヤードで◎
で、話はここで終わらない。なにせ、あくなき学究の徒・黒木氏は1本指の平行移動のブルースでは全然飽き足らず、悶々と正月を過ごすうちに、ついに、トライヤード(三和音のこと)上で純正律にチューニングする方法を発見してしまい、1月14日の当会の新年会でその成果を発揮してくれた。その時の参加者の興奮ぶりが強烈なものだったのは言うまでもない。
とりあえずは、シャンソンの定番「枯葉」をやってみたが、面白くてキレイで申し分ない。この調弦法はまだ明かすわけにはいかない(実は私自身がいまいち分かっていないのじゃ)が、次回3月30日(木)の純正律ミニコンサートで披露するつもりである。
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[癒しの現場から]
音が自然治癒力をサポートする
――イドイ指圧治療院院長 井土井至さんにきく
田村圭子
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いま、治療の場で純正律音楽の導入がますます増えています。西武池袋線「富士見台」駅前のイドイ指圧治療院もそのひとつ。純正律音楽によって患者さんのヒーリング効果がアップしただけでなく、治療室の植物の発育が格段に進んだり、治療中、頭の中にスクリーンが現れ画像が見えるようになった人、身体が勝手に動き出す人もいる――こんな内容のおたよりを頂き、早速お話を伺ってきました。
☆純正律音楽浴で緑が倍に成長☆
院内は大小各種の鉢植えでいっぱい。常に微かな音量でミネラル・ミュージックが流れており、なんだか、ほっと和みます。
「このテーブルヤシ、十数年間ほとんど育たなかったんです。それが1年ほど前CD(「光の国へ」シリーズ)を流し始めたら初めて花が咲いていきなり倍ぐらいに成長し始めちゃった。これ、ちょっと見てくれます? パキラなんですけど、窓際のやつが元気がなくなっちゃったんで丸坊主にして、切った部分をもったいないからここに差しておいたんです。そしたらもう、親よりこっちの方が大きく成長しちゃって」〈イドイ指圧治療院院長・井土井至さん〉
音の聞こえ具合の差か、鉢の位置によって成長の度合いに分布があるのが、なんとも不思議。井土井さんは、音楽や純正律については「難しくてよくわからない」と言い切る一方で、音楽を評する際に「入り込める」という表現を使われます。入り込める、というのは、どうやらリラックスするということと深く関係があるようです。
「まず、気功し始めると寝ちゃうようになった。まぁ、普通にやっていても寝る方はいますが、このCDかけ始めてからは、眠りに入るまでが早いし、ここで眠っていく方も増えてます。特に『光の国へ』の2、3になると音の高低差や曲調の激しい曲がないから、安心してα波からθ波の状態で眠れるんじゃないですか。邪魔にならない曲ねって皆さん言いますね」
井土井さんは以前から、いわゆるヒーリング・ミュージックからエスニック音楽、宗教音楽に至るまで様々なジャンルの音楽を試してこられたそうですが、どうも「ヒーリング用につくられた」音楽には「入り込めなかった」とか。また、微かな音量で流すこともリラックス促進のポイントのようです。
☆世界の見え方が変わった☆
さて、治療室の壁を見渡すと、患者さんのイラストでいっぱい。これが治療中に“見えた”画像ですね。この不思議な絵が室内に独特の雰囲気を与え、治療に相乗効果をもたらしているようです。
「絵を描いたのは元々イラストレーターの方なんですけど、『光~』のCDをかけ始めてから、ほら、こんな風に絵がすっかり変わって色もクリアになってきてます。最近の作品で面白いものはこれで……これは、いわゆるヨガで言うところのクンダリーニ――仙骨のところにあるエネルギーが、渦巻くようにポンと上に抜けていく様子じゃないかなと思うんです」
誌上で御紹介できないのが残念ですが、たしかにエネルギーの迸りが感じられる絵で、見る側も様々な感覚を刺激されます。さらには、CDと気功を併用することで、描く絵が変化するだけでなく、手に取る本の傾向や自分を取り巻く感覚そのものがより細やかな感じに変化したりと、井土井さんをはじめ皆さんの心身両面に変化が現れ始めたそうな。一体、何が起きているのでしょう!?
☆右脳を活性化させる音色?☆
「おそらくこの絵の方は右脳がずいぶん開発されているんだと思います。このCDの音色が右脳にはたらきかけやすいんでしょうね」
いきなり脳の話ですみません。でも実は、指圧とは脳のメカニズムに沿った治療法なのだそうです。
「一番大事なのはね、私らが圧したから治るものではないということ。圧すことで刺激が脳の松果体に入り、そこから各内臓器官のホルモンを作る内分泌腺にはたらきかける。松果体は内分泌腺の統括総合令本部なんです。○○が今凝ってると訴えているから、◇◇のホルモンよ、お前が行って緩めてやってくれと。で、現場にホルモンが行って筋がすっと緩んで治る。これが本当の自然治癒力です。私らがやっているのは、そのお手伝い。例えば背中の筋肉なら9本も重なってる。上から一番下なんか圧せっこないんです。そこでこういう音楽でリラックスして
緩んでくれると隙間ができてどんどん奥まで入れる。つまり、より神経の近くに触れられるわけです」
さらに松果体は創造も司っているため、ある種の音の刺激が知覚の変化として現れると。私たちの身体って、全身が複雑に連携してるんですね。ところで、治療を施す側へ、CDが逆に癒し効果をもたらす一面もあるようなんです。
「以前は、どうやって治そうかなという気構えが強かったけど、今は、まぁいろいろやってみようって感じでのーんびりと……同じ1時間でも、ほやーっとした優しい時が過ぎているみたいですね」
でも困ることもあるようで……。
「この状態で気功を行うと、心地良すぎて、たまに寝ちゃってることがあって。“先生!”“ああ、寝てた”みたいなこともね(笑)」
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外科医のうたた寝☆その1
純正(律)讃岐うどんの旅
福田六花(純正律音楽研究会発起人:医学博士、作曲家)
昨年は讃岐うどんにはまってしまい、うどんを食べるだけのために、2度も香川県に出かけてしまった。きっかけは『恐るべきさぬきうどん』という本である。香川県に数百とあるうどん店を食べ歩き、細かなランキングと詳細な地図を付けた名著を読むうちに、これはどうしても実際の讃岐うどんを食べなければと思い香川県に行き、見事にはまってしまった。
うまいうどん店には大体共通した特徴がある。
1.一見してうどん店には見えない――看板は出ていないし、外観は普通の民家のようだったり農家の納屋のようだったりする。
2.辺鄙な場所にある――もちろん繁華街にも美味しいうどん店はあるのだが、多くの名店達は住宅地のはずれ、田園地帯の真ん中、人里離れた山中などにひっそりとたたずんでいる。
3.セルフサービスである――もらったうどん玉を自分で湯がいてから食べる。
4.うどん1杯の値段はなんと100~200円である
5.それでいて驚異的にうまい――まさに奇蹟である。
まずは食べに行ってみましょう。クルマに乗って『恐るべきさぬきうどん』を片手に目当てのうどん店を探すこと数十分。田舎の細い道を何度も迷いながらもようやくそれらしき建物を見つけだす。看板など出ておらず、どう見ても古い納屋か小さな倉庫のようである。恐る恐るドアを開けて中を覗くと、薄暗い店内に無言でうどんを食す人が数十人。見よう見まねで積んであるどんぶりを持つと、小柄なおばちゃんが「何玉?」と訊くので「○玉下さい」と答える。どんぶりにうどんが載せられるので、それを自分で大鍋で湯がき、生卵を割り入れてネギを載せる(当然ネギも自分で刻む。もしまな板の上のネギがなくなったら自分で外の畑から抜いてくる)。つゆは用意されているがこれは使わず、生醤油を「の」の字にかけてから一気に食べる。最初に素晴らしい歯応えに感動し、少し遅れてあまりのうまさに呆然としてくる。なんの仕掛けもない。このうどんはついさっきまでうどん粉と塩と水だったのに、いつの間に魔法のように感動的なうどんに変身したのだ。これはうどんの純正律だ。
こんな感動的なうどん店を1日に5~6店まわり、うどんを食べ尽くす(それだけ食べても1000円かからない)。
僕は東京ではめったなことではうどんを食べなくなった。
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CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW
[[[[[[[[[[[[純正茶寮]]]]]]]]]]]]]]]
今回の「純正茶寮」は、CDのフンイキまでお伝えしたいという意気込みでお届けしましょう。前回の黒木氏に代わり、玉木氏によるクラシック系純正律の逸品を御紹介します。
玉木:黒木さんは、あんまりクラシックは強くないよね。
黒木:クラシック音楽は知っていますが、現代の純正律系のものには詳しくないです。
玉木:創刊準備号で紹介したペレーツィスはラトビア人だけど、いま、ポーランドからフィンランドにかけて純正律の嵐が吹きまくっている。で、今日はグレッキというポーランド人の作曲した「ポルカの為の小レクイエム」を……
〈玉木、CDをかけながら話す〉
グレッキと言えば、「悲歌のシンフォニー」が世界中でミリオンセラーになって有名になったんだけど、今のこの曲の出だしと同じように、同じようなコードばかり使っていて――というか、シンフォニーの場合、淡々とイ短調のモード系が続く。すると、オーケストラは自然に純正律のイ短調になっていく。そこへ心をかきむしるような悲痛なソプラノが登場するわけ。
〈曲の冒頭部分は非常に静かに、ヴァイオリンとピアノだけが淡々とシンプルな演奏を続けている〉
どう?
黒木:ちょっと単調な気もするけど……。
玉木:そうとも言えるけど、そこがまたいいような、ね。ところで題名に「ポルカの為の~」というのが何なのか、イマイチ分からない。ポルカといえばシュトラウスの曲とかいっぱいあるけど、だいたいポルカというのは、ポーランド人の女性を意味するらしいね。
黒木:今度調べておきましょう。
〈曲が単調なので会話が続く〉
玉木:まだ4分か、まだまだかな。
黒木:なんですか?
玉木:まあ、もうちょっとのお楽しみ。さて、ポルカ以外にもマズルカとかポロネーズとか、なぜポーランドの関係の舞曲が多いんだろうね。
黒木:それも調べておきましょう。
玉木:話は変わって、いま北欧で純正律の嵐が吹き荒れてと言ったよね。その中のラトビアかエストニアかは忘れたけど、全世界に散らばっている亡命者たちが年に1回、祖国へ帰って全員で合唱をやるらしいんだ。NHKで特集があったと人からきいたんだけど、亡命者たちは毎年、1回のイベントのためにすごく練習するらしいんだけど、多分ピアノは使われないと思う。だから、会場は純正律の渦になるはずだよね。
黒木:なるほど、一度聴いてみたいもんですね。
玉木:さてもうすぐだ。しばらく聴いてみよう。
〈延々と淡々と続く静けさ〉
……………………………‥‥‥‥‥・・・・・・・・・・・!!!!!!!
〈突然の大音響〉
玉木&黒木:ワアー!?
〈のけぞる二人。玉木、あわててCDの音量を下げる。黒木、妖怪にでも遭ったかのようにおったまげ、次には半狂乱になるほど笑い転げる〉
黒木:なにこれぇ!! すげぇや。面白い。これはすごい!
〈黒木、感嘆詞連発〉
玉木:いったいナニが起こったのか!? 『ひびきジャーナル』を読んでるみなさんにもぜひ一度、この曲を聴いて、初体験の「のけぞり」を味わってもらいたいね。
INFORMATION
玉木はこの曲の入っているCDを2枚を持っています。1枚はここで試聴したグレッキ曲集で、指揮Rudolf Werthen、演奏I Fiamminghi(The Orchestra of Flanders〉によるものです(TELARK20 CD-80417)。
もう1枚のCD番号はPhilips 442 533-2。ぜひ、輸入版コーナーで探してみてください。
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――企画してみませんか――
あなたがつくる純正律イベントのすすめ
おかげさまで、純正律音楽研究会ミニコンサートは第4回を数えます。開催にあたっては、皆様に御案内ハガキやメールをお送りしており、いつもたくさんの御返事をいただきます。その中には、参加できない方からの「平日夜は無理」、「遠くて参加できません」といったお声が散見されます。
コンサートの企画をする際には出演側のスケジュール調整はもちろん、なるべく多くの方に御来場いただける設定を念頭においています。しかし、実際に全ての人が参加できる日時・会場を、というのはまず不可能なことですね。
そこで!「いつも参加できない時間や場所で開催されている!」とお悩みの方、参加しやすい形態のレクチャーコンサートやワークショップを、御自分の手でつくりだしてみませんか?
難しく考える必要はありません。「大人数を集客・動員」という発想ではなく、純正律音楽に関心のある仲間が集まって、それぞれがさらに友人を連れて来て、というような形から始めてみてはいかがでしょう。会場だって、必ずしも立派な大ホールである必要はありません(もちろん響きの良い部屋であるにこしたことはありませんが……)。これまでにも玉木氏はたびたび、20名程度の集まりの依頼で小さなレクチャーコンサートを行ってきています。
「自分の地元で開催してほしい」「休日の午後なら出かけられる」「子ども連れでも入場できないかしら」「こんな内容でやって」等々、皆様のニーズに合う純正律イベントを企画・提案し、スタッフとなってください。もちろん資格は問いません。玉木氏はじめ純正律音楽研究会発起人、事務局スタッフもサポートいたします。解説と共に純正律の響きを体感してみることで、自分を取り巻く音の世界がさらに拡がります。関心ある方、まずは、研究会事務局まで御連絡ください。
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●TBSラジオで純正律特集番組オンエア決定!
日時――2000年4月24日(月)21:00~21:50 TBSラジオ(954KHz)
⇒純正律特集番組がオンエアされます。「究極の癒しの音って何だろう――耳から心のリラクセーション」をテーマに、玉木宏樹氏のおしゃべりあり演奏あり、盛り沢山な50分。3/30のミニコンサートの模様も紹介される予定です。ぜひ、お聞き逃しなく!
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●日本産業カウンセラー協会月例研究会「ミネラル・ミュージックの楽しみ」
日時――2000年4月15日(土)14:00~17:00
会場――和洋学園飯田橋校舎5階大教室(JR・地下鉄飯田橋駅徒歩3分)
参加費――一般2000円
問合せ――(社)日本産業カウンセラー協会関東部会 Tel. 03-3360-6868
⇒純正律音楽研究会の玉木宏樹、小川圭一両氏によるレクチャー+ミニコンサートになります。リラクセーションにテーマを絞った専門家向けの研究会ですが、関心のある一般の方も参加できます。
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●純正律による耳にやさしいミニコンサート
日時――2000年5月13日(土)16:30開演
会場――小松アネックスビル5F「銀座グレースイベントホール」
中央区銀座6-8-5(地下鉄銀座駅徒歩3分/JR有楽町駅徒歩5分)
参加費――無料(要予約)
問合せ――Tel. 03-5537-8300
⇒銀ブラのあとは、耳にやさしい音色でリラックス。小さなホールなので、御希望の方はおはやめに御予約ください。
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☆はみだし情報☆
4月9日(日)MXTVの「ガリレオ・チャンネル」(8:30~/19:00
~の2回放映)で、玉木宏樹氏による純正律特集番組を放映!お見逃しなく!!
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@@@@@西麻布通信@@@@@
◆お待たせしました第2号。年末から新年にかけてのインフルエンザの猛威は当研究会にも波及。事務局の田村がダウンしたため、今号で玉木氏はライター兼カメラマンとしてもデビューするハメになりました(ホントにすみません)さて、出来ばえはいかがでしょうか。
◆なんと! 玉木氏が桐朋学園短期大学にて、この4月から9月まで、毎週1回教鞭を取ることとなりました。「文化の創造と環境――音の後進国日本」と題して、街の騒音退治、純正律音楽、打倒・平均律/絶対音感神話を掲げた講座が展開される予定。これは、初めて公的な立場で純正律が認められるきっかけとなるかもしれません。「ただし、桐朋の子供音楽教室は絶対音感神話の牙城なので、いいのかいな、という気も少しはありますが」とは玉木氏の弁です。
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※attension!!!!!!!!※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
今号の黒木朋興氏による「ムッシュ黒木の純正律講座」、黒木氏の原文では、フランス語部分に多数のアクサン記号が使用されていますが、メールマガジンというメディアの制限上、この「会報ネット版」ではアクサン記号をつけた状態の文面を表示することができません。ただし、純正律音楽研究会正会員向けの会報(印刷物/A4判8ページ)では、正しく表記されているほか、図版等も掲載されております。
今回、この正会員向け会報を御希望の方に実費にてお送りいたします。お名前、御住所、「アナログ版会報希望」の旨をお書き添えいただき、80円切手を同封の上、純正律音楽研究会までお送りください。折り返し、正会員向け会報をお送りいたします。
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〒106-0031 東京都港区西麻布2-9-2(有)アルキ内
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純正律音楽研究会 まで
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