ひびきジャーナル 創刊第1号
玉木宏樹 萩野昭三 黒木朋興 下山田吉成(1999年11月30日発行)
いよいよ師走ということで、御多忙な日々をお過ごしのことと存じます。
大変長らくお待たせいたしましたが、ここに、純正律音楽研究会会報『ひびきジャーナル』創刊号をお届けいたします。
前回、創刊準備号をお届けしてからはや数ヶ月、会の起ち上げから運営、ミニコンサートの開催、等々、煩瑣な作業に追われるままに発行が遅れてしまいましたことをおわび申し上げます。
お読みいただきました御感想、御要望などをお寄せいただき、皆様とともに、より良い純正律音楽情報誌として、また会員相互のコミュニケーション誌としまて育てていければと考えております。
どうぞ、忌憚のない御意見をお聞かせ下さい。
純正律音楽研究会代表 玉木宏樹
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純正律音楽研究会会報『ひびきジャーナル』 {創刊第1号}
1999年11月30日発行
編集/発行:純正律音楽研究会
〒106-0031 東京都港区西麻布2-9-2 (有)アルキ内
Tel. / Fax. 03-3407-3726
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――玉木宏樹の――
“この人と響きあう”
第1回 萩野耳鼻咽喉科院長・バリトン歌手 萩野昭三さん
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各界でユニークな活動をされている方にご登場いただき、 純正律音楽研究会代表である玉木宏樹氏と音や響きについ てのトークを展開していただく第1回目は、東京・中村橋の萩野耳鼻咽喉科院長の萩野昭三さん。バリトン歌手としても著名で、毎年リサイタルを開催し、御出身の青森・津軽地方のことばのひびきにこだわったCDをリリースされるなど、あらゆるジャンルの「ノドを使う表現者」にとってのよき理解者かつ守護神ともいうべき存在です。
〈音痴とはどういうことか〉
玉木:萩野先生とは、津軽弁の歌曲をたくさん書かせてもらったり、僕が日本初の純正律のCDをソニーから出す時に監修していただいたりと、15年ぐらいのお付き合いがあるんですが、耳やノドの御専門、また歌手の立場から、音や純正律に関してのお話を伺えたらと思ったんですよ。やはり歌うのは身体にもいいんでしょうか。
萩野:いいですねぇ。開放されるでしょ。歌歌う人はみんな、自分が一番うまいと思って歌うんですから(笑)、一般には。
玉木:たしかにみんなカラオケでも、音痴だって自覚症状もなくて歌ってるよね(笑)……あれ? でも、音痴っていうのは本当にあるんですか。僕は、実は本当に音痴な人っていないんじゃないかと思っていて、どうしてかというと、聴覚に障害があるのでない限り、例えば日本に生まれ育ったら日本語、それも関西なら関西弁をしゃべるようになるじゃないですか。
萩野:そうね、例えば自分が歌ったのを録音して後で聞かして、音程がはずれているなぁって分かる人なら問題ないです。ほとんどがこのタイプで、こういう人は矯正すればすぐ治っちゃうから。
玉木:聞き分けられないのは、何が問題なんですか。
萩野:大脳に、聞き分けるためのセンターがあるわけだけど、その中枢部分に問題があるんだね。
玉木:耳の機能の問題じゃなくて、一種の神経障害みたいなもの?
萩野:そう。「自分がちゃんと歌えない」のを運動性音痴、「調子っぱずれに歌ってるのが判別できない」のを感覚性音痴といって、ちゃんと区別しているんです。
玉木:じゃあ、「音痴」という病名があるってことですか。
萩野:そうですね。
玉木:そういえば三重大学で、裏声をずーっと出させて、安定した裏声が出るようになったら今度は普通に歌わせると音痴が治ってたとか、そういう訓練をやってますよね。それは多分、運動性なんだ。実は山本直純さんがものすごく歌ヘタで、音程メチャクチャ悪いの。でも、「俺は音痴じゃねぇぞ、ノドがうまくコントロールできないだけだ」って言ってるのね。
萩野:うん、実際、病気と言えるほどの音痴っていう人はほとんどいないんだよね。僕の70年の人生で出会ったの1人ぐらいだから。
〈民謡からロックまで〉
玉木:なるほどね。耳の話から今度は声の話を伺いたいんですが、患者さんはやっぱりクラシックの方が多いんですか。
萩野:多いけど、演歌の人や安室奈美恵ちゃん、「シャ乱Q」のつんくとか「モーニング娘。」が来たりとか。民謡も各地のトップスターの方が来てますよ。
玉木:はぁー、面白いねえ。クラシックの人と民謡歌手やつんくみたいな人とでは声帯の形に違いってあるのかな。
萩野:民謡の場合には、圧倒的にテノールとかソプラノの人が多い。民謡って、高い声が出るほど重宝がられるからね。あと、つんくはテノールだけど浜田省吾は明らかにバリトンなんです。声帯を見てこれ分かった時は寒気がするほど嬉しかった(笑)。浜田省吾なんて高い声の王様みたいだったじゃない。でも、高い声の人がみんなテノールってわけじゃないんだと。
玉木:ノド見て初めて分かるわけだ。それじゃいろんな人のノドを見てみたくならないですか。
萩野:まあね。あと、藤原歌劇団とか外国人の歌手を立てるところからもうちに来るから、外国人のデータもたくさんあります。多分、日本では僕が一番、声を使う人のデータを持ってると思いますよ。
玉木:それはすごいね。民族によって声帯に違いってあるんですか。
萩野:それはあんまりないです。声帯の長さや幅はもちろん個人差があるんだけど、むしろ訓練でノドをつくっていくというか。
〈ホーメイの秘密は仮声帯に?〉
玉木:そうなんですか。ところで、先生はホーメイってご存知? モンゴルとかの、1人2重唱をやるような唱法なんだけど、声帯をどうしているのかと思って。
萩野:うーん……仮声帯と声帯と両方を使っているのかもしれない。
玉木:カセイタイ?
萩野:仮声帯ってのは、声帯のサイドの上のほうにあって、いつも一緒に動くんです。
玉木:じゃ、普通は声帯を震わせてるけど、仮声帯も震わせてるかもしれないんだ。
萩野:何とも言えないですね、実際に見てないから。でも普通の人はそこまで意識して使ってない。
玉木:ははぁ、ホーメイってのは、いろんな声を溜めておいて、基音はずっと出しながら仮声帯を使った音を載せてるのかもね。裏声だってそういうとこあるでしょ。
萩野:裏声は、遊離帯っていう声帯の縁の一部分だけを使うのね。縁しか振動していないから声自体は細く小さくなるわけ。
玉木:すると民謡の場合も使う部分が限られてるのかな。
萩野:限られてるというより、とにかく高音で勝負するために、1秒間の声帯振動数がものすごく増えるのね。振動数が増えればそれだけ声帯の摩擦の回数が増えるからポリープができやすくなるわけ。だから、民謡の人が50代過ぎるとダメだっていう説があるのは若い時に使いすぎちゃうからなのね。
玉木:結局、ホーメイがどうなっているかは歌ってる時の声帯の写真を撮らないと分かんないわけね。
萩野:だから、その人たちが来日したらお願いしたいですよ。
玉木:それなら、僕のCDにも参加した巻上公一君はホーメイやってますから、いっぺんここに連れてきたら面白いかもねぇ。
萩野:それはもう是非! ただで診てあげますよ。
〈文責:田村圭子〉
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天国的純正律音楽入門 第1回
調律の不思議
――ピアノが証明する純正律のピッチ
純正律音楽研究会代表 作曲家・ヴァイオリニスト 玉木宏樹
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私はいつも純正律と平均律を奏き分ける機械(シンセともいえないようなおもちゃ風)を持参して、いろんな所でその違いを聴き分けてもらっている。ところが、これでは、どうせ機械じゃないのと思われたりして、いまいち説得力がない。
しかし最近、ピアノを使って十分にその違いが判る方法が見つかった。非常に新鮮でまた刺激的なので、その話をお伝えしたい。
◎VnとPfで音程差を体感◎
この間の第2回目の純正律音楽研究会ミニコンサートは、原宿のアコスタディオという所で、「オルゴールの歴史と調律の謎」と題して、成功裏に終わったが、木造りのスタディオにも拘わらず完全デッドでエコーのないのには参った。そこで、12月に入っての第3回ミニコンサートは、もっとエコーのある所でやることを前提に場所を探していたところ、四谷の秘境、レストラン「オテル・ド・ミクニ」の近くにある「コア石響(しゃっきょう)」というところを教えてもらった。早速ロケハンに伺い、充分残響のあるのも確かめ、当研究会の若きホープ黒木氏のギターを純正7度にチューニングしてブルースをやってみたところ、とてもいい響きがした。そういうことをやっている時に、「コア石響」のオーナーである山本さんも立ち会われ、面白そうにしておられたが、純正律と平均律の違いを説明しようにも、例の機械を持ってこなかったので残念残念と思いつつ、グランドピアノの蓋を取り、これがピアノの「ドミソ」です、それに対してヴァイオリンは……と、まだやったことのない実験を始めた。
まず、ヴァイオリンの最低弦「ソ」をピアノの「ソ」と完全に同じに合わせる。そして、ヴァイオリンで10度の「シ」の音を音程よくハモらせる。この「シ」の音は、ドミソでいうと「ミ」にあたる。ヴァイオリンで何度か開放弦の「ソ」と「シ」をピッチをずらしながら探っていくと、どんなに音痴だという人でもピタッとハモった瞬間は絶対に分かるものだ。そして私は「いいですね、これは非常にキレイにハモっていますよね」と何度も念を押して、おもむろにピアノの「シ」を叩いた。するとそれはあまりにも高く、その違いの強烈さは、私自身も驚いてワッとのけぞるほどだった。やはり機械はダメだということを再認識。やはり、ピアノの調律はヘンだということが非常によく分かる。さて、第3回目のミニコンは、そういうわけで四谷の「コア石響」に決まったが、第2回目の最後に次回の予定としてコーラスでハモるワークショップの一端としてちょっとした実験を行い、大失敗だった。そこで場所を変えることにしたのである。
◎予期せぬ倍音が出現!◎
実は本番の前にリハーサル室で少し練習をした時、響きのいいその部屋で、私のヴァイオリンの「ドソ」に合わせて1人ずつ「ミ」を歌ってもらったが、うまくハモった瞬間、2人目、3人目の声がハッキリと聞こえたのだった。私は順番を待っている2人に、今声を出したかときいたがみんな否定する。しかし、その2人と、声を出した本人でさえハッキリとその声が聞こえたと答えた。つまり、強力な倍音と差音(少し説明が難しいので、いずれまた)が現れたわけだ。
アコスタディオでは、古いオルゴールのふくよかな響きに全員感嘆したけれど、もっとちっちゃいリズム時計製作のオルゴールを平均律と純正律で演奏させたところ、全員がその違いに驚いていた。ディスクは同じで、かけるオルゴールの調律が違っているだけだから、全く同じ曲で響きの違いが分かる。純正律(実はミーントーン)になったとたん、会場全体が暖かく上品な音場となったのである。この違いはいろんな所で実験したいし、皆さんにも知って欲しいので、これからも続けていくつもりである。
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{{{{{{ ムッシュ黒木の純正律講座 第1時限目 }}}}}
「純正律」という呼称についての考察 ―その1―
黒木朋興
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◆「純正律」に見るお国柄◆
ドの音が鳴る弦を1/2に分けるとオクターヴ上のド、2/3に分けるとソ、3/4でファ、4/5でミが得られ、これら純正律の音程で和音をつくると極めてきれいな響きが得られるというのは、自然倍音列という現象によって説明することができる。ただ、この自然倍音列という現象とそこから得られる純正律とは、言ってしまえば、単なる物理現象にすぎない。重要なのはこの現象を前に、様々な人がそれぞれに多種多様な音文化をつくり上げてきたということだろう。
その中でもヨーロッパは、世界で唯一、和声の効果を存分に活かした音楽を築き上げ、そしてそのための理論として調性システムを完成させた、と言われる。しかしそのヨーロッパといえども、地域が違い言葉が違えば同じド・ミ・ソの和音を前にしても考えることが微妙に違うようだ。例えば純正律という表現をドイツ語・英語・フランス語で調べてみると、微妙な言い回しの違いの中にそれぞれのお国柄を感じることができる。ここではフランス語のケースを中心に、その微妙な違いについて考えてみたい。
◆辞書に載ってない「純正律」◆
早速、平凡社の『音楽大事典』で〈純正律〉の項を引いてみよう。
――純正律 じゅんせいりつ just intonation[英]、reine Stimmung、 naturliche Stimmung[独] (フランス語では直接これにあたる言葉は なく、「アリストクセノス音階」gamme d’Aristoxene、 または「ツァル リーノ音階」gamme de Zarlinoなどと呼ぶ) 純正調とも言う〈……〉
アリストクセノスにしてもツァルリーノにしても音楽理論家の名前なのだから、これらのフランス語は彼らの案出した音階という意味であり、従って純正律に正確に対応した表現であるとは言い難い。では本当に、フランス語に純正律を指す表現がまったくないかと言えば、必ずしもそうとは言えない。
◆無いわけではないらしい◆
例えば、僕が1998年の夏に、パリのラジオ・フランスの中にあるINA-GRMというミュージック・コンクレートのスタジオで開催された作曲の講習会に参加したときのことである。僕がスタジオで、C=1/1、D=9/8、E=5/4、F=4/3、G=3/2、A=5/3、B=15/8、C=2/1という、純正律を振動数の比で表した表を眺めながらいろいろ思案していると、エマニュエル・ドゥリュティという、コンセルヴァトワール・スュペリユールの作曲科に籍を置く当時22歳の若い作曲家が僕の手元を覗き込み、”pas temperee” と呟いたのだ。つまり生のままの、調整[temper]していない(ずらしていない)音階という意味であろう。
そこで「ドイツ語ではreine Stimmung[純粋音階]というけど、フランス語ではこれに対応する表現がないみたいだね」と聞いてみると、「そんなことないよ。gamme pure[純粋音階]とかtemperament pur[純粋整律]とか、みんな言うよ」という答が返ってきた。「だって辞書にはgamme de Zarlinoとかgammed’Aristoxeneとしか載っていないよ」と言うと、彼は目を丸くしていた。どうやらそういう表現を知らないようなのだ。
◆ベテランにもきいてみよう◆
数日後、今度は50歳を過ぎたと思しき、やはりコンセルヴァトワール・スュペリユールの作曲科の教授でもあるヤン・ジェスランに「英語でjust intonation、ドイツ語でreine Stimmungというのがありますよね。フランス語では何というのですか」と聞いてみたところ、「えーと、確か、juste, juste……」と言って答に詰まってしまった。もちろん、彼にしたところでメルセンヌやラモーの国、フランスが誇る最上級の音楽学校で作曲を教える人物である。純正律という現象を知らないわけではないのだ。もちろん、彼らの用語に関する混乱ぶりを勉強不足のせいにしてしまうことはできないだろう。この辺の事情に関してはまた次回。
【くろきともおき】
〈上智大学大学院文学研究課/フランス文学専攻博士後期課程満期退学〉
研究テーマは19世紀末フランスにおける詩学と音楽。大学時代、ポストモダン批評の現代性(モデルニテ)批判に嫌気がさしていた頃、ふと純正律という調律法が抱えている矛盾こそまさにモデルニテの矛盾を見事に体言しているのではないかということに気付く。
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[癒しの現場から]
その人固有の響きに癒される
――柿の木坂心療内科クリニック東洋医学治療室 下山田吉成さんにきく
田村圭子
今回は、純正律を採り入れた音楽療法に取り組む下山田吉成さんをご紹介しましょう。この療法を開始してから、腰痛・膝痛や不眠、うつ、冷え、高血圧などの症状に対する著しい効果が既に報告されていることは創刊準備号でもお伝えした通り。下山田さんが所属する柿の木坂心療内科クリニックでは、人間を体・心・気・霊性等が一体となった有機的統合体ととらえるホリスティックに基づく理念を掲げており、治療者はあくまでも「援助者」として、患者自身に備わる自然治癒力を引き出すことを目指しているとのことです。
☆音楽療法って何?☆
恥ずかしながら筆者は音楽療法について、患者に何か音楽を聴かせリラックスさせる治療法、ぐらいの漠然としたイメージしか持ち合わせていなかったのですが、同クリニックでは、音のもつ振動そのものを心身に作用させる療法としてとらえているようです。
「音の持つ振動を肉体と精神体に与えることによって心身のバランスを整え る治療法です。病んだ心と身体は調律の狂った楽器がどんな名曲を奏でても 不協和音を出すように思考、感情、行為を歪めてしまっています。音楽療法 では、チューニングの狂った心身を再調律することによって個々の人間が本 来持っている自然治癒力を回復し、自然界のリズムと調和することを可能に します」(下山田さんの音楽療法案内書より)
ここで調律という言葉が登場してきたりして、俄然興味がわいてきます。具体的には、治療に際し、ボディソニックという、音を振動に変換して全身に伝える寝椅子のような装置を使用します。と言っても、いきなりボディソニックが登場するわけではありません。
「治療はまず、患者さんの正確な生年月日時や出生地を尋ねることから始めます。それから、過去の病歴と、いま抱えている問題についてを丁寧に聞き出し、その後、音楽療法について解説します。心療内科自体がカウンセリングを主体とする分野なので、患者さんとの対話はとても重要。30分以上はかかりますね」(下山田さん)
話をじっくり聞いてもらうこと自体が、既に癒しとなっているわけです。でも、生年月日時を尋ねるのはなぜ―― 実は、これが下山田式療法のポイントなのでした。
☆人間も自然界の一部だから☆
「治療に使用するのは、玉木先生に特注で作っていただいた純正律の和音のMDとミネラル・ミュージック等の穏やかな音楽です。純正律の濁りのない音が治療に最適なんです。ただ、純正律なら何でもよいわけではなく、実は、患者さんごとに一人ひとり合う音が決まっていて、それが生年月日と出生地から導き出せるんです」
どうもその人だけにマッチする音色があるらしいのです。
「私の専門は鍼灸ですが、鍼灸でいうところの経絡(ツボを結ぶ線にあたるもの)が身体の片側に12種ずつあり、干支や1年、1日の時刻、中国古代音階も12という単位で構成されていて中国医学では経絡と密接な関係があるとすることから、人間の生年月日時と音との間にも法則があるのではないかと思っていたんです。というのも、人間の心身の営みは天体の運行や自然界のリズムとの関係抜きには考えられないからです」
こうして固有の音を12音階のいずれかに推測したら、それが実際に有効かどうか、カイロプラクティックの「ショートレッグテスト」という手法でテストします。
「人間の身体は、普通に生活している状態では左右非対称なもので、足も左右の長短差があります。でも、その人に合う音を与えて調和がとれると長さが揃うんですよ」
患者は、時計、装飾品、コンタクト、化学繊維や締め付ける衣服等を外し、とにかく身体から一切の刺激を取り去った状態で、北枕に寝てもらいます。実は、人間の身体自体が頭を「+」足を「-」として微弱な生体電気が流れる「磁石」であるため、地磁気の流れの影響を受けにくい北枕にするのだとか。その状態で、12音階を試し、推測した音が合っていることが確認できたら、次に、その音の長調/短調どちらがその患者に有効かを見極めます(例えばC(ハ)の音に反応する人の場合、ハ長調とハ短調のどちらかということ)。このため、ミネラル・ミュージックCDの収録曲も全て、ト長調やホ短調といったように調性別に分類してあります。
「大雑把に、人間は虚証と実証の2タイプに分けることができます。虚証というのは私みたいな痩せていて元気がない人、実証というのは太っていてエネルギッシュな人、玉木先生なんかがそのタイプです。虚証には短調の音色を、実証には長調の音色を使用するんです」
でも、組み合わせが逆では? 元気のない人に明るい音を聞かせた方がいいような気がしますが……
☆音で心身を調律する☆
「いや、あえて同じ性質のものをぶつけるんです。“共鳴の原理”というんですが、ある物体の持つ振動数と同じ振動数の波動をぶつけると、その物体は共振を起こして壊れますよね。虚証の人に短調の音を用いることで、トラブルの状態を一旦破壊し、その人の体内環境を再調整するわけです」
なるほど。こうして音が決まると、いよいよボディソニックに移り、約1時間の治療に入ります。装置には予めMDやCDが接続してあり、純正律の和音や曲が流れてきます。筆者も実際に体験してみましたが、振動も音色もごくわずか、照明も落とされるので、なんだか気持ちよく眠ってしまいそう。でも、眠るほどリラックスしているほうが身体の奥深く音が入り易いそうです。1回の治療でも効果は現れますが、表面的なトラブルを解消して終わり、ではなく、継続治療することで、その人の体質を根本から改善していくことを目指しているということでした。
下山田さんの目下の悩みは、同業者が少ないこと。情報交換できる研究者を募集中とのことなので、お心当たりの方は是非、御一報を。
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純正律音楽の効果を理学療法、外科手術の場で実証
既に御覧になった方もいらしゃるかもしれませんが、純正律音楽研究会の発起人のひとり、福田六花氏(医学博士・作曲家)による、純正律音楽に関する実験報告が、健康保険組合の機関誌『健康のひろば』(平成11年10月21日号)に紹介されました。平均律音楽との効果の差が脳波測定により如実に現れています。その記事の抜粋を御紹介しましょう。
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牽引療法、低周波療法、温熱療法などの理学療法を受ける時には、できるだけリラックスした状態のほうが効果が上がる。福田医師は、慈泉堂病院(茨城県大子町)の理学療法室で純正律音楽を流してみた。すると、治療を受けている時におしゃべりをする患者が減った。顔見知りの患者が多く、治療中の患者も待っている患者も一緒になって騒いでいたのが、落ち着いて治療を受けるようになり、マッサージでは眠ってしまう患者も多くなったという。「患者さんはもちろん、医療を提供する方もリラックスできて治療効果が上がる」として、福田医師は外
科の手術中にも純正律音楽を流している。平均律音楽では人によって好みがあるが、純正律音楽は誰にでもなじめるという。
脳波の中でも、落ち着いている時にはα波が多くなり、さらにリラックスしてくるとθ波が現れる。福田医師は、平均律音楽と純正律音楽を聴き比べたときの脳波を測定した。〈中略〉平均律音楽の場合の脳波―α波は多少現れ、音楽を聴くことにより、ある程度リラックス状態が得られるのがわかる。次に同じ曲を純正律音楽で演奏したものを聴いた場合の脳波―α波が明らかに増え、θ波も現れ、「より質の高いリラクゼーションが得られることがわかった」(福田医師)。
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CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW CD REVIEW
[[[[[[[[[[[[純正茶寮]]]]]]]]]]]]]]]
ROSENBERGS SJUA 『R7』
DROCD-017
「純正茶寮」へようこそ。こちらは、純正律音楽研究会の玉木&黒木コンビが探索してきた、面白くて変わった純正律関係CDを持ちり、極上のひとときにふさわしい1枚を御紹介する音の喫茶室です。準備号では玉木がラトビアの作曲家、ペレーツィスを採り上げました。どうやら主に「玉木→クラシック関係」「黒木→個性的なポップス関係」を担当することになりそうです。では、今号は黒木氏のおすすめを、どうぞ!
黒木:今回のは、スウェーデンのRosenberg(スウェーデンだからローゼンべリと読むのかな)という女声のコーラスを中心にした弦楽器とのアンサンブルです。
玉木:ぼくはクラシックでは北欧関係が大好きで、いろんな作曲家のCDを持っているけれど、中でもスウェーデンのものは少ない。それでも、ラールソンなんていう作曲家はベルクの弟子なのに純正律指向の作曲を残しているし、スウェーデン人があまり音楽をやらないというんじゃないよね。
黒木:クラシックはあまり詳しくないですが、ロック関係では良質なグループが結構ありますよ。
玉木:たとえば?
黒木:サムラマンマスマンナとか、アネクドテンとか。
玉木:ところで、今回のローゼンべリ、ぼくも一度通して聴いたところ、北欧の民謡風な感じとはずいぶん違って、やけにグレゴリアン的というか、ブルガリアンボイス風というか……そんな感じって正しいのかな。
黒木:ブルガリアン風とも言えますね。
玉木:北欧、スウェーデンやノルウェーにはフィドルによく似たヴァイオリン属の民族楽器があるんだけど、その雰囲気がよく感じられて、それも大変面白い。しかし、このバンドは結構キレイにハモり続けているよね。多分、トップソプラノの声質の特徴にみんなが合わせているというか……それから、このトップソプラノ、何かいま話題になっているらしいね。その辺をちょっと説明して下さい。
黒木:坂本龍一が朝日新聞社主催のオペラ『Life』のために連れてきたそうなんです。彼女の声を見出したのはさすがだとは思いますが、このアルバムを聴くと、『Life』だけで帰らせたのはあまりに残念というべきでしょうね。今度は、彼女1人だけでなくて、このグループ全体での日本公演を坂本氏は企画すべきでしょう。そこまでやらなければ本物じゃない。「世界の坂本」が聞いてあきれると言われても仕方がない。そのくらい素晴らしい演奏だと思います。
玉木:彼は、朝日新聞ともケンカするほど根性があるというか、自分勝手なところがあるから、みんなのためを思って行動はしないんで、まあ、当たり前のことでしょう。ところで、肝腎のこのトップソプラノの名前は?。
黒木:スザンヌ・ローゼンバーグです。
玉木:CDの日本でのディストリビュート先は?
黒木:MAレコーディングズですね。
玉木:きいたことないなぁ……一般の店でも売ってる?
黒木:渋谷のタワーレコードとかWAVEとか、ディスクユニオンに行けばあるけど、一般の流通には載っていないと思います。
玉木:じゃあ、地方の人が買うにはどうすればいいわけ?
黒木:直接MAレコーディングズに問い合わせてもらうのが早いでしょう。
【問い合わせ先】
MAレコーディングズ販売 Tel. 03-5276-6803/Fax. 03-5276-5960
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋1-12-6-3F(株)マーキュリー内
E-mail: tgmarec@ibm.net
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――アンケート結果から――
「自分の中にある」響きに耳をかたむける
純正律音楽研究会のコンサートでは毎回、来場された皆さんにアンケートをお願いしています。そうして寄せられた回答には、「いやされた」「ここちよかった」「こころに響いた」という御感想が多いのですが、そのほかにも、次のようなものがあります。
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「新鮮な発見をしたような気持ちです。心が落ち着き、これからの生活に良 い影響を与えてもらえそうです。もう少し理解出来たらもっと好きになれそうです」(M・Eさん、50歳、女性、第1回目分の回答より)
「10年以上ピアノをやっていたせいか、“純正律”の存在は驚きでした。 でも、“音”に対する疑問はスッキリと解けた気がします。そして妙な納得。 『そうか指は10本しかないんだ』。新しいコトを発見!というより、内にあ るものの解明といった感じのコンサートでした」(N・Kさん、25歳、女性、 第2回目分の回答より)
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アンケートに回答 して下さった方々が 、発見、気付きについて述べていらっしゃるのが印象的です。「純正律」ときくと、何かとてつもなく難解な理論の世界を想像してしまいがちですが(もちろん理論の裏付けは必要ですけれど)、それは実は、私たちが生まれながらにして備えている感覚を呼び起こすことにほかならないのではないでしょうか。意識せずとも既に身体は識っているもの――純正律音楽研究会が目指しているのは、新しいことの「発明」ではなく、誰もが内に持っているはずの「響き」に耳を傾け、探っていくことなのです。そういう意
味では、次回、第3回目のミのミニコンサート&ワークショップはまさに、自分の声で純正律を体感し、理解する契機となることでしょう。今後もイベント毎にアンケートを実施いたします。コミュニケーションの一環としても、是非、皆様の声をお寄せいただければと願っています。
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●純正律音楽研究会PRESENTS/玉木宏樹の純正律に魅せられて●
第3回「純正律によるクリスマスキャロルとブルースの夕べ」
日 時――1999年12月9日(木) 18:30会場 19:00開演
会 場――コア石響〈JR・地下鉄四谷駅徒歩7分〉
東京都新宿区若葉1-22-16/Tel. 03-3408-4541
参加費――正会員1500円、ネット会員2500円、一般3000円
問合せ――純正律音楽研究会 Tel. / Fax. 03-3407-3726
→かねてより御要望の多かった、コーラスのハモリを体験するワークショップ をお届けします。純正律でクリスマスキャロルを歌う快感をあなたにも!また、今回は、純正律音楽研究家・黒木朋興氏考案の純正律によるギター調弦法 を基に、ヴァイオリン、ギター、ヴォイス等々を織り交ぜた、前代未聞の「純正律ブルース」インプロヴィゼーションにも挑戦します。もちろん、ギター、ハーモニカなどによる飛び入りも大歓迎。ふるって御参加下さい!
【お申込方法】完全予約制とさせていただきます。お電話でお申し込みください。折返し入場券(地図入り)をお送りします。御応募多数の場合は会員優先とさせていただきます(残席わずか。お早めに!)。また、一般の方でも、コンサート申し込みと同時に純正律音楽研究会への入会手続きをなさると、会員割引・優先予約が受けられます。
●クリスマス・イベント@錦糸町そごう●
日 時――1999年12月19日(日)、23日(木)、24日(金)
時間は各日とも、13:00~、15:00~、17:00~(1日3回)
会 場――錦糸町そごうデパート〈JR錦糸町駅前〉10Fエレベーターホール
入 場――無料
→ミニコンサートに来られない方にも気軽に純正律のひびきにふれていただける、クリスマスイベントです。出演は、玉木宏樹(ヴァイオリン)、LINDEN(ヴォーカル)、黒木朋興(ギター)。何が飛び出すかはお楽しみ!
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@@@@@西麻布通信@@@@@
◆創刊準備号が出たのは確か真夏のこと……なのにいま、外に木枯らしが吹いているのは何故?予定よりも大幅に遅れての創刊号、本当にお待たせしました。今後はなんとか隔月ペースを目指します。
◆昨年、御好評をいただいた、クリスマスのためのミネラル・ミュージックCD『聖夜』の大増刷出来ました!純正律で味わう聖歌集はプレゼントにもいいですね、この機会にぜひどうぞ。価格は2500円(税別)です。お求めは純正律音楽研究会までどうぞ。
◆純正律音楽研究会では会員を随時募集しています。正会員(年会費5000円)、ネット会員(無料)があり、カテゴリーによって特典が違います。関心がおありの方は、是非、下記までお問い合わせください。
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〒〒〒〒〒〒おたよりお待ちしています!〒〒〒〒〒〒
〒106-0031 東京都港区西麻布2-9-2(有)アルキ内
Fax. 03-3407-3726 / E-mail: archi@ma.rosenet.ne.jp
純正律音楽研究会 まで
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ひびきジャーナル 創刊準備号
玉木宏樹 下山田吉成 黒木朋興(1999年7月28日発行)
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純正律音楽研究会NEWS『ひびきジャーナル』
創刊準備号
1999年7月28日発行
編集/発行:純正律音楽研究会 〒106-0031 東京都港区西麻布2-9-2
(有)アルキ内
Tel. / Fax. 03-3407-3726
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ようこそ、純正律音楽研究会へ。堅苦しい会報ではなく、耳に身体に非常に心地よい音楽がひびきわたる会報にしたいと、とりあえず『ひびきジャーナル』としました。これはあくまで準備号なので、みなさんの有意義な御意見を頂きたいと思っています。よろしくお願いします!
純正律音楽研究会
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●21世紀は平均律から純正律へ●
純正律音楽研究会代表/作曲家・ヴァイオリニスト 玉木宏樹
最近、ポップス界でもクラシック界でもイギリスものが大はやりである。ポップスではエンヤとかアディエマスに特徴的な、透明感あふれるシンプルなメロディとハーモニー。またクラシックでも、ヒリヤード・アンサンブルは、ノルウェーのサックス奏者、ヤン・ガルバレクとの共演『オフィチウム』が全世界で300万枚出たといううわさがある。ヒリヤードのコーラスでうたう曲は、16世紀のドイツの尼僧ビンゲンの作品で、その上に現代ジャズのアドリブが乗るという、意表をつくサウンドである。
この、エンヤをはじめとするケルト系ポップス、そしてヒリヤード・アンサンブルやキングズ・シンガーズ等のクラシック・コーラスがくりひろげる天国的な透明感のあるハーモニーの世界、これが純正律(純正調ともいう)という、古代から伝えられている最もよくハモる調律の世界なのである。この分野の響きは、ヒーリング・ミュージックのコーナーでもよく取り上げられている。
純正律などというと、むずかしそうだが、そんなことはない。単純によくハモることであって、ウィーン少年合唱団の天使の歌声を思い出してみればよく分かる。彼らの音程の訓練は絶対にピアノではやらない。今のピアノやオルガン、ギター、シンセサイザー等、音程を固定させる楽器はオクターヴを単純に12に平均分割した調律であり、平均律というが、この本来の意味は、平均的に音を狂わせてあるという意味である。
実は、バッハもモーツァルトもベートーベンも、そして、19世紀のロマン派前期の作曲家たちは、いずれも平均律では作曲していない。12個の鍵盤だけで純正律の調律をすると使えなくなる和音が多すぎるため、古代から純正律に近づけるためにいろいろな調律の工夫がなされた。
バッハは平均律を広めるために「平均律クラヴィーア曲集」を作曲したと日本語では記しているが、ドイツ語でも英語でも、どこにも「平均律」という言葉はない。ただ「Well tempered」と書かれているだけである。この Well tempered とはいったい何だったのかというのが歴史的問題で、ベルクマイスター第IIIの調律だといわれている。バッハの時代に「平均律」の調律法は存在しなかったのだから、「平均律クラヴィーア曲集」とは、恐れ入った誤訳である。
バッハは対位法に適合したベルクマイスター調律だったが、後のモーツァルトに影響を与えたヘンデルはモノフォニーに適した中全音律(ミーントーン)を愛用した。モーツァルト時代に平均律の調律法が確立したが、モーツァルトは大変平均律をきらった。また、ショパンもミーントーンで作曲し、転調の範囲が限られるため、一晩のコンサートでステージに3~4台のピアノを置いたと伝えられている。ところで最近、モンゴルやトゥバ地方の一人二重唱、ホーメイという唱法が脚光を浴びているが、これこそ、人間の声帯が自然倍音で成り立っていることの証明である 。
この自然倍音を下から並べ替えたのが純正律である。ピアノの「ミ」は純正な「ミ」より半音の100分の14高いのだが、この違いは誰にでも分かるほどの差であり、とても汚い。音程を純正にとれるコーラスやアンサンブルはぜひ純正律でハモる訓練をしてほしい。
純正律こそ「音の自然食」である。私のCDで思わぬヒーリング効果があったと報告がたくさん届いている。純粋なドミソは体にも良いのである。
〈『AVヴィレッジ』1999年9月号より抜粋〉
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シリーズ[癒しの現場から]―― 予告編――
◇誰でも自分だけの「癒しの音」を持っている!?◇
柿の木坂心療内科クリニック
東洋医学治療室主任鍼灸師 下山田吉成さん
いま、純正律ミネラル・ミュージックは、音楽に関心のある人だけでなく、そのヒーリング効果から医療の現場でも注目されています。本誌では、治療に携わる方々の声を通して、「純正律と癒し」の関係を探っていきます。
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第1弾は鍼灸師の下山田吉成さん。東京・目黒の柿の木坂心療内科クリニックで鍼灸と音楽療法をミックスした新しい治療法に取り組んでおられます。この記事は、次のような治療効果を箇条書きにしたお便りをいただいたことから始まりました。
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1: 腰痛と膝痛が焼失した(1回)
2: 不眠症が軽減した(1から3回)
3: うつが軽減した(2から5回)
4: 冷えが減少した(1から2回)
5: 高血圧が正常になった(3回)
※ミネラル・ミュージックと純正律コード(MD)併用、()内は施術回数、全てボディソニック使用
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「気持ちよかった」「~のような気がする」だけでなく、どうやら実際の医療現場において効果が出ているようなのです。そこで、はがきをくださった下山田さんに早速お話を伺ってみることとなりました。まず、最初に少し驚いたのは、こちらと下山田さんとの、音楽療法に対するイメージの違いでした。
「音楽を聴かせて、気持ちがよくなったり疲れがとれる、リラックスできればよい、ということではないんです」
どうやら、表面的な、また一時的な対症療法ではなく、より深い部分で、「音」で身体そのものをよりよい方向に体質から改善していくことをめざしておられるようなのです。でも、そんなことが可能なのでしょうか?
「人の体の営みは単独で完結しているものではなく、自然や環境の一部でもあります。そうした自然や天体のサイクル、波長と音とも、また密接な関係があって、そのことが治療にも応用できるんです」
なるほど。でも具体的には、音がどのように治療に使われているのかと気になっているところに、さらに気になる発言が……
「実は、私が音楽療法に取り組み始めて以来のテーマなんですが、生年月日によって、誰でも、その人だけに『合う音』があると思うんです。それが今後の治療法の鍵になるのではないかと…」
このような感じで次々と興味深いお話が飛び出すのですが、今回はここまで。詳しくは次回、創刊号にてご覧ください。
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●純正律とは?●
黒木朋興
自然倍音とは何でしょう? 例えば、ドの音が鳴る弦を弾くとすると、鳴るのはドの音1つではなく、基のドの周波数をn倍した音も同時に響きます。これらの音のことを倍音といいます。すなわち基音がドの時、2倍音はその1オクターヴ上のド、3倍音はその上のソ、4倍音は2オクターヴ上のド、5倍音はその上のミ、6倍音はそのすぐ上のソというように次々に上に音が積み重なっていくのです。そして3倍音のソの音、つまり5度の音に目を付け、オクターヴと5度の音を重ねて作った音律がピタゴラス律です。この音階は、単旋のメロディーを奏でるととても美しいのですが、3度の音が高すぎて和声を作るのには向きません。またオクターヴ、ソ=5度の音と5倍音であるミ=3度の音を組み合わせてドレミファソラシドを作ったのが、日本語で純正律と呼ばれる音階です。これの特徴はとにかくドミソの和音が美しいことが挙げられます。ただし主要3和音以外の3和音の響きがとても汚く使いものになりません。また、何よりも西洋音楽の最大の特徴である転調をしようものならば、不協和音だらけになってしまうという欠点があります。
こうしてテンペラメント(=整律)が開発されます。純正律の音を少しずつテンパー[temper=整える]して、つまり少しずつずらすことによって、耐え難い不協和音をなるべく減らし使える和音を増やそうとしたのです。例えばピエトロ・アーロンの中全音律や、ヴェルグマイスター、キルンベルガー、ヤング、ラモーの整律などが有名です。ただしあくまでも耳で聞いて音を調整するのですから、基本的には耳で聞いて心地よい和音が尊重されていました。
ところが最終的に西洋が到達した12等分平均律は、1オクターヴを平均に12に分けるという整律ですが、耳で聞いた和音の美しさより、正確に平均に分けるために算出された2の12乗根という数値を優先させます。その結果、すべての和音が使えるようになった代わりに、純正律の美しい響きは失われ、オクターヴ以外のすべての和音が濁ってしまいます。極言すれば平均律は微妙な不協和音だらけの整律と言えましょう。なお大バッハが使っていたのはこの平均律ではありません。長い間バッハは平均律を使っていたという誤った見解が支持されてきたので、18世紀には平均律が普及していたと思われてきましたが、現在では早くても19世紀に入ってからではないかと言われています。おそらく19世紀末という、絶対音感が設定され、正確に音を測定する機器ができ、平均律に合わされたピアノという楽器が大量生産され世に広まった時代に、この平均律の専制は決定的になったものと思われます。
現在では平均律が当たり前の音階として扱われ、古典整律がそれでも守ってきた純正律の響きは無視されています。正確に言うと実は上手い合唱団や弦楽団はきちんとした響きを出せるのですが、日本ではきれいにハモるための教育が十分でないために、和音感覚ではひけをとってしまいます。
ドビュッシーやシェーンベルグなどの音楽やジャズなども平均律を前提にしていますから、平均律がまったくだめだと言うつもりはありませんし、やはりプラスの面もあったのです。それでも平均律の専横ぶりは目に余るものがあると僕達は考えています。平均律でやる必然性のない音楽までが、何の疑いもなく平均律で演奏されるのははっきり言って文化の貧困以外の何物でもありません。最近では古楽の領域を中心にようやくきれいな和音に目を向けようという動きが徐々に出てきましたが、僕達もその一派です。
ただし僕達の特徴は、古楽ではなく、あくまでも現代の音楽を提供していこうということです。純正律の響きを十分に活かした音楽をやるためには、1オクターヴを更に細かく分けたスーパーテンペラメントを開発する必要があります。昔においても1オクターヴに50いくつも鍵盤がある楽器が夢想されたことはあり、現にヘルムホルツなどは1オクターヴを32に分けた楽器を作ってはいますが、おそらく人の指が10本だからでしょう、弾きこなすなど不可能でありました。しかし、現在ではコンピューターの発展によりスーパーテンペラメント実用の可能性が見え始めてきたのです。
難解な音楽をごり押しするつもりはありません。心地よい音環境を提供したいのです。
《黒木朋興(1969年生まれ)》
上智大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士後期課程満期退学。研究テーマは19世紀末フランスにおける詩学と音楽。中学でギターを始め、高校でバンド活動を中心に男声合唱などにも手を染める。大学時代、ポストモダン批評の現代性―モデルニテ―批判に嫌気がさしていた頃、ふと平均律という調律法が抱えている矛盾こそがまさにモデルニテの矛盾を見事に体言しているのではないかということに気付く。
玉木宏樹からのメッセージ:
今後、純正律の会報等を作成していくにあたり、執筆者のひとりとして仏文研究家、黒木朋興氏を紹介します。氏は、マラルメの詩論等を研究を手掛けると同時に、仏文の史観と哲学から純正律と平均律の矛盾に着目し、鋭い考察を繰り広げている若い学究の徒です。これ以降の会報等での執筆の代表者のひとりとなります。
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◆SOUND’S TREE◆
Pelecis 《FROM MY HOME》より “Neveretheress”
(TELDEC0630-14654-2)
このコーナーでは純正律を中心にいろんな調律による変化に富んだ作品の紹介をしていきます。
その第1回目に登場するのはPelecisという作曲家の作品〈Neveretheress〉です。私は自分のホームページ上でPelecisを紹介しながらラトビア人だから読み方は分からないと書いたら東大大学院生から「ペレ―ツィス」と読むんだとのMailを頂きました。
さて私がペレ―ツィスを知ったきっかけは、後々に紹介する予定のポーランドの作曲家でやはり純正律に拘った作品「悲歌のシンフォニー」で300万枚のCDを売り切ったグレツキのピアノ協奏曲の入ったCDを買ったおかげです。グレツキの曲は退屈でしたが、最後におまけのように入っていたペレ―ツィスの「コンチェルティーノ・ブランカ」に私は大衝撃を受け、夜も眠れないほどの興奮の毎日が続きました。この曲は題名通り、ピアノの白鍵だけと弦楽合奏による3楽章構成の全くハ長調だけで一切転調のない、開き直った潔い曲です。
ところで〈Neveretheress〉は、モスクワ留学時代のルームメイトだったヴァイオリニストのクレーメルのために書かれたソロヴァイオリンとピアノと弦楽合奏のための協奏曲で、30分近く延々とD-Major,D-Minor,つまりニ長調とニ短調だけで構成されます。冒頭から5分くらいから始まるピアノのフレーズはまさに日本人にピッタリのマイナームードで、まさに「ヤラレタ―」というショックが尾を引きつつ感動にひたるというとても個性の強い曲です。おっとっと、ピアノはもちろん純正律に調律されていることは、私のシンセとコンピュータで確認ず
みです。
(玉木宏樹)
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◎のぞいてみた? 純正律のHPで聴き比べ!◎
もう、御覧になりましたか? 純正律やミネラル・ミュージックに関する情報満載のHPがあるんです。玉木宏樹氏のホームページはそれ。純正律入門セミナー、一味違う玉木氏おススメ音楽コーナーから時事コラム、著作権のホットな話、玉木氏の小説まで、多岐にわたる情報が随時更新されています。純正律VS平均律聴き比べコーナー、MIDI試聴など、耳で体験できるコーナーも充実。お試しあれ!
URL : http://www.midipal.co.jp/~archi/index.html
◎おたより待ってます!◎
今後の純正律音楽研究会NEWSに、読者コーナーを設けます。みなさまの御意見、御感想など、どんな内容でも構いませんのでどしどしお寄せください。
E-mail to : archi@ma.rosenet.ne.jp
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ひびきジャーナル No.85
水野佐知香 黒木朋興 玉木宏樹 齋藤昌男
ひびきジャーナル2月号休刊のお知らせ
長年に渡り尽力くださった事務局が、昨年末、健康上の理由から業務不能となってしまいました。その為、ひびきジャーナル2月号は休刊となりましたことをお詫び方々お知らせ申し上げます。
令和8年2月吉日
純正律音楽研究会理事長 水野佐知香
合唱と純正律音楽コンサート
2016年9月17日土曜日14時開演
会場:新宿文化センター(小ホール)
水野佐知香(Vn.)
三宅美子(Hp.)
吉原佐知子(箏)
辻志朗
早稲田大学合唱団有志
洗足学園大学 LaLaLa Singers
入場料:前売り3,000円(当日券 3,500 円) 学生2,000円
癒しの音楽コンサート 2021
2021年11月26日(金曜日)14時開演
開場:横浜市磯子区民センター「杉田劇場」
水野佐知香(Vn)
三宅美子(Hp)
吉原佐知子(箏)
♪音の自然食♪ 純正律音楽コンサート
2022年5月21日 横浜市磯子区民文化センター「杉田劇場」

癒しの音楽コンサート
2019年9月21日(土曜日)14 時開演
会場:山崎製パン飯島藤十郎社主記念LLC ホール
水野佐知香(Vn)
三宅美子(Hp)
吉原佐知子(箏)
Christopher Yohmei Blasd
癒しの音楽コンサート デュオで楽しむヴァイオリン
2020年12月26日(土曜日)14時開演
開場:山崎製パン 飯島藤十郎社主記念 LLC ホール
水野佐知香(Vn)
荒井章乃(Vn)
三宅美子(Hp)
森夕希子(Piano)
